地獄に落ちた日
「はーい、鬼ごっこ終了〜」
目が霞む。息がうまくできない。それも全部後ろから聞こえる声の主のせいだ。
僕が言葉を発する前に腹部に衝撃が走り、体が浮き上がる。一瞬離れただけなのに懐かしく感じる地面の感触は、自分の体から溢れる血溜まりの中で静かに伝わってくる。
「君、手間を取らせないでよね」
ぼやけた視界の中には不敵な笑みを浮かべた女性が立っている。手に持っている刀には既に他の誰かの血が刃から滴り落ちていた。
「この私から少しでも逃げれるなんて、君、なかなかやるね」
そんな彼女から少しでも逃げようと僕は体を無理にでも動かすが、足に刀を突き立てられてしまう。声にならない呻き声だけがこの場に広がっていた。
「気に入った。君は私が連れて帰ろう。だからさ、死なない程度に殺してあげる」