第二百十八話 風景写真
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
坂を登り終えるとさくらが休んでいた。
「お疲れー」
「さ、さくら……自転車変えて……」
「やだー!」
そう言うと再びさくらは山道を漕ぎ出した。私はその後ろを漕いでいくのだった。
(さくらめ……後で覚えてなさい……)
スイスイと登っていくさくらを後ろから汗だくで追いかけていた。
それでも私の見える位置でしっかり止まってくれている辺りは安心して見てられた。
「もう少し先なの?」
「うん、あと少しだね。」
「ここから下り坂になってるからお姉ちゃんも少し楽でじょ?」
「あはは……帰りは今から降る坂を登らないといけないけどね……」
「あー……ファイト!」
「さくら!」
ファイトの一言を言って逃げたさくらをわたしは追いかけるのであった。
「とーちゃーくー!」
さくらが先に着いて駐輪場に自転車を停めてたさくらの自転車の横に私も自転車を停めた。
「じゃあ、ちょっと歩いてからお昼にしょうか。」
「ねぇ、お姉ちゃん今何時位?」
「ん?今は……10時半だね。」
「じゃあここまで来るのに1時間半かかったんだね。」
「そうだけど、なんで?」
私はさくらが時間を気にしてるのが気になった。
「だって、雲行きが怪しいから早めに帰った方が良さそうだよ。」
「あっ、ほんとだね。」
私は空を見上げて確かに雨が降りそうな空模様をしているのを見た。
「そうね、さくらに風邪を引かせるわけにはいかないからね。」
「お姉ちゃんもだよ。風邪なんて引かないでね。」
「分かってるわよ。」
そんな駄話をしながら紅葉を見に歩き出した。
「涼しいねー。」
「山の上だからね。それに川もあるから。」
「葉っぱが色づいてるのをゆっくり見るのは初めてだよー、ここって名所なの?」
「名所ではないよ。穴場なだけ。」
「へぇー、でも、人が多いよりいいかも。じっくり歩いて見れるもん。」
「気に入ってもらえて嬉しいわ。春になるとさくらも咲くから良い場所なのよ。去年はくみと2人で花見してたんだよー。」
「じゃあ来年は私とだね。」
「そうなりそうね。くみがこっちに来てたら3人で行こうか。」
「じゃあその時はお姉ちゃんは走りになるんだね。」
「……さくら、最近調子に乗りすぎじゃないかなー?」
「ふぎゃゃー!頭がー!」
ちょっとしたお仕置きに頭に拳を乗せてグリグリするのであった。
「何かいう事は?」
「ごめんなさい……」
さくらは頭を手で押さえて謝るのであった。
そして、再び歩き出した。
「見てみて!カワセミがいるよー!」
「おおー、さくら知ってたんだー。」
「うん、図鑑で見た事あるんだー。あんなに綺麗な鳥なかなか居ないもん印象によく残ってるよ。」
「じゃあ実物は初めてなのね。」
「お姉ちゃんは結構見てるの?」
「うーん……そんな事ないけど、まぁ4,5回位だよ。」
「いいなー……お姉ちゃんカメラで写真撮ってよー」
「いいけど。ちょっと待ってね。」
私はカバンから携帯を取り出してカメラ機能を起動させた。
「お姉ちゃん……カメラは?」
「これだよ。」
「これは携帯だよ?」
「だから、携帯のカメラで撮りなさいよ。」
「えー、カメラはないんだ。」
どうやらさくらはデジカメなどを期待してたようだ。
「普通は持って来ないから。」
「ムー……まぁいっか。じゃあ撮って、撮って!」
「えー、私が撮るの?」
「お姉ちゃんの方が上手いじゃん。」
「じゃあさくらにも後で貸してあげるから撮りなさい。それで好きな写真をプリントしてあげるからさ。」
「いいの⁉︎ありがとう!」
という事で、撮影会が始まったのだった。
秋の紅葉シーズン。人の少ない場所で眺めるのもいいかもしれませんね。
それではここまで読んで頂きありがとうございました。次回更新もお楽しみに!