第二百十七話 デート
お待たせ致しました。
それでは本編をどうぞ!
季節が進んで暦の上では冬になる頃……
「さくら、来週の日曜日空いてる?」
「日曜日?大丈夫だよ。」
「良かった、じゃあ紅葉狩りに行こう!」
「紅葉狩りって何?」
さくらは時折知らない事がある。それは仕方ないのだ。私と知り合う前まではほとんど遊んでこなかったのだから。
「まぁ、簡単に言うと紅葉やイチョウが色づいてるから見に行こうって話。」
「そうなんだ!じゃあ行きたい!」
「分かった、自転車で行くから手入れしておいてね。」
「分かった!楽しみにしてる!2人で行くの?」
「うん。久しぶりに2人っきりになりたいんだ。」
「じゃあデートだね!しっかりエスコートしてね。」
「はい、姫さま。」
私はさくらの手の甲に口づけをするのであった。
そして日曜日……
さくらは朝からお弁当を作っていた。私が8時頃起きると2つの小さなお弁当箱におかずを詰めていた。
「あ、お姉ちゃんおはよう!」
「おはよー、早いわね。あれ?母さん達は?」
私は母さんたちがいない事に気づいて、さくらに聞いてみた。
「私たちがデートに行くって言ったらお義父さんを起こしてデートに行ったよ。お義父さん凄く眠そうだったよ。」
「そ、そうなのね……」
(父さんとばっちりだなー……)
私は父さんに少し同情してしまう。なぜなら昨日も遅くまで会議資料を作っていたのだから。もちろん母さんも父さんの仕事が終わるまで寝ないのだが……
「はい、お姉ちゃんの分!」
「あ、ありがとう。」
私が父さんに同情してる間にさくらはおにぎりも握っていたのだ。本当によく出来た彼女である。
私はさくらに貰ったお弁当をバッグの中に入れた。そして、さくらの分もさくらのバッグの中に入れた。その間もさくらは水筒にお茶を入れていたので、このくらいはしないと流石にいけない気がする私であった。
「じゃあ、さくら忘れ物ないね?」
「うん、戸締りしたし、ガスもみたし、電気もちゃんと消したよ。」
「蛇口も私が見たから、後は玄関だね。」
そう言って私は玄関の鍵を閉めるのであった。
「じゃあ!出発!」
「おおー!」
午前9時に私たちは出発したのであった。
「さくら、キツくない?大丈夫?」
「大丈夫だよー!ギア変えたからまだまだいけるよ。」
私たちは坂道に差し掛かっていた。急ではないが、地味にキツいやつだ。さくらのはギアアリだが、私のはギアなどないのだ。安物である。
「もぉーさくらのだけ良いやつ買って!ずるい!」
「それはお姉ちゃんが悪いんでしょー。新品の良いやつ買って貰って3日で壊したんでしょ。それじゃあ怒るわよ。」
「なんでさくらが知ってるのよ!」
「お義母さんが教えてくれたよ。お姉ちゃんがスケボーの真似をして公園の手すりでやらかしたんでしょー?」
「うぐっ……」
「流石に庇いきれないよ。自業自得と思って頑張ってね。」
さくらはそう言うと坂道を一気に駆け登って私を待っていた。
(物は大切に使おう……)
改めてそう思った私であった。
久しぶりにヒロイン2人の話です。
次回もお楽しみに!
それではここまで読んで頂きありがとうございました。次回更新もお楽しみに!