第百九十六話 怒りの目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
遡る事昨日の夕方……
「ただいまー」
…………
「あれ?さくらは遊びに行ってるかもとして、母さんもいないというのはどういう事だ?」
私が独り言を言って家の中に入ると一枚のメモ用紙があった。
そこに書かれていたのは……
『さくらちゃんが病院に運ばれた。なので先に病院に行きます。』
私は着替えもせずにそのまま家を飛び出した。そして母さんに電話をする。
「もしもし、母さん!何があったの?」
「あかりね。大丈夫、命に別状はないわ。」
その一言で私は少し落ち着いた。
「とにかく何があったの?」
「それはあかりが着いてから話すわ。私も今えりちゃん達から聞いてる所なの。」
「……分かったわ。とりあえず何か持って行く物は?そうね、とりあえず木刀とメリケンナックを……」
(あ、これはかなり怒りに満ちてるわね。)
「わ、分かったわ。他に必要な物は?」
「そうね、さくらちゃんの着替えかしらね。頭を強く打ってるみたいだから2、3日入院するみたいだし……」
「分かったわ。じゃあ後で……」
私は通話を切り家に戻った。鍵が開いていた事から私は鍵を閉めずに飛び出した様だ。バレたら怒られるどころでは無さそうだ。
「さくら、大丈夫⁉︎」
私が病室の扉を開けて入ると母さんがさくらの寝ているベッドの隣の椅子に座っていた。
さくらを見ると右の頬が赤黒くあざになっていた。
「何があったの?」
私は自然と声が低くなるのを感じた。これは確かな怒りだ。
私は母さんから聞いた内容に拳を握り込んだ。
私は無言で病室を出ようとした。
「どこ行くの?」
「その暴力教師を殴りに行ってくるわ。」
「やめなさい!」
「なんでよ!さくらにこんな事しておいてただで済ませられるわけないでしょ⁉︎」
「時間見てみなさい。」
時計を見ると既に6時半を過ぎていた。
「警察には連絡したの?」
私は再び母さんの横に戻って聞いてみた。
「ええ、先程来てくれたわよ。」
「それで傷害で訴えるの?」
「ふふふ。そんな甘い罪かしらね……」
母さんもキレていた。久しぶりに血の雨が……いや、4ヶ月前にも降ったな。でも、今回の方がキレていた。
「それで、木刀とメリケンナックはなんで持って来させたの?」
「それはねー……」
笑顔も怖かったがその後の顔と言葉の方が怖かった。
「明日朝イチでしばきに行くからよ!」
「そっか!私もお供します。」
私も母さんに付いて行く事を決めた。
「とりあえず、腹ごしらえよ、あかりはさくらちゃんを見てて、お父さんももうすぐ来るはずだから。」
「父さんはまだ仕事してるの?」
私は半ば呆れた感じで聞いた。家族の暮らしを守ってくれてるのはわかるけど、こういう時くらい早く帰ってきて欲しかった。
「仕事じゃないわよ。あの人は直接学校に乗り込んだのよ。校長に直談判しにね。」
「うそ……そんな事出来るの?」
「本当よ。今回の件は教育の場で起こってるからね。もし話にならなければ私が出るのよ武力行使でね。」
母さんは笑っているけど目が笑ってなかった……
「じゃあ行くか行かないかは未定なのね。」
「いや、行く事になりそうよ。えりちゃん達の話だと前にもその暴力教師は1人の子を不登校にしてお咎めなしにしてたみたいだし、あかりも準備しときなさい。1発くらい殴らないと気がすまないでしょ?」
(流石母さん……よく分かってる。)
私は一度木刀を取りに家に帰った。
自分の小学校ではかなり生徒に対して体罰が多かった気がします。不要か必要かはよく考えた方が良さそうですね。
それではここまで読んで頂きありがとうございました。次回更新もお楽しみに。




