第百七十一話 覚悟
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ。
「さくら、食欲ないの?」
「ごめんなさい…まだ少し怖かったのかも。手が震えちゃって…」
さくらはお箸を持っている右手が震えていた。緊張の糸がようやくほぐれてきたからだろう。改めて恐怖を感じているのだろう。
「えりちゃん大丈夫かな…?」
さくらも怖い思いをしたが、今回はえりちゃんもだ。えりちゃんのお母さんにも話してはいるけどやっぱり心配だと思う。
「さくら口開けて、食べさせてあげるから。」
私はさくらの焼きそばの入った皿を持ち上げて箸ですくってさくらに食べさせようとした。
「えりちゃんの方は後で私が電話しとくから。大丈夫よ。それに、今はさくらも元気にならないとね。」
「お姉ちゃん…」
「はい、あーんして」
さくらは口を開けて、再び食べ始めた。たぶん2、3日はトラウマになるだろうけど、さくらなら大丈夫だと信じてる。私はそう思いながらさくらに食べさせ続けた。
お昼を食べ終わった後、えりちゃんの家に電話をかけた。
「あっもしもし、私、雪乃さくらの姉のあかりです。三沢えりさんのお宅で間違いないでしょうか?」
「あっ、あかりさんですね、先程はありがとうございます。」
「いえいえ、あのえりさんの様子はお変わりありませんか?さくらが心配していたのですが、今はちょっと精神的に参ってる様なので代わりに私が。」
「ご心配ありがとうございます。えりは今眠っていますが、特に変わった様子はないですよ。」
「そうですか。それは良かったです。これからもさくらと仲良くして下さい。」
「ええ、こちらこそ。えりの事をよろしいお願いします。」
私は電話を切って眠っているさくらの横へ座り、頭を撫でた。
「この辺りの治安ってそこまで悪くないんだけどなー」
私は呟く様にして口に出す。
「まぁ、この辺りも変わってきたって事ね。」
いきなり母さんが話に来て私はびっくりする。
「変わるって事はいい事ばかりじゃないの。特に生きてれば価値観なんていうよもどんどん変わってしまう。」
「そうだよね。なるべく自分の身は自分で守らないといけないのかもね。」
「そうね、さくらちゃんにも柔道か合気道を教えておいた方が良さそうね。」
「あまりさくらをいじめないでよ。」
「あかりみたいにガサツなら良いけど、さくらちゃんは繊細だからね。いじめたりしないわよ。」
「ということは私の時はいじめてたのね。」
「…さてと、洗濯物取り込まないと!」
「コラー!逃げるなー!」
私は逃げる母さんを問い詰めようとしたが力技で逃げられた。ちなみにこの力技というのは言葉の綾ではなくマジもんの力技、つまり絞め技などの技で私を堕として逃げたのだ…
次に私が起きるとさくらはもう起きていた。
「あ、お姉ちゃんおはよー」
「おはよー…いててて…」
途中関節技もかけられた為、身体中痛い…
「お姉ちゃん。」
「何さくら?」
私は背中をさすりながらさくらの方を見る。
「私、強くなるから!お姉ちゃんみたいにお義母さんみたいに強くなって友達を守れるくらい強くなるから!」
さくらの目には確かな覚悟が見えた。だから私はその覚悟に応えねばならなかった。
「分かった。じゃあ走りに行こう。強くなる為に!」
「うん!」
そうして今日も夕方に2人で走りに行くのであった。
どんな事にも始める時は覚悟は必要です。
もし踏み出せない時は少しの覚悟を持ちましょう。もしかしたら進めるかもしれませんね。
それではここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新もお楽しみに!




