第百五十六話 きゅうり馬とナス牛
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
次の日。カブトムシたちの引っ越しを始めた。
まずは腐葉土を虫かごに敷いた。
次に落ち葉と遊ぶ為の木置いた。
その中にカブトムシを入れてあげたら完成!
「お姉ちゃん出来たよ!」
「良かったね、これで昆虫観察出来るじゃん。」
餌もしっかりと用意してあって結構綺麗だ。だけどもう朝なのでカブトムシたちは土へと潜ってしまった。ここ3日くらいは土の中で眠れてなかったので元気はなかったからこれで落ち着いて寝られるだろう。
「今日さくらは予定あるの?」
「うーん…特にないかな…友達もみんなおばあちゃん家に行ったりしてるみたいだし…」
「あー、そっかもうお盆だもんね。」
「お盆?」
「ご先祖様が帰ってくるのよ。」
「そうなんだ。お父さんとお母さんも帰って来てるのかな?」
「そうね、帰って来てるかもね…そうだ!今日はお盆に作るあれを作ろうか!」
「あれって?」
私はきゅうりとナスを持ってくる。
「きゅうり馬とナス牛!昔教えてもらったの。」
「きゅうり馬?ナス牛?どういう意味?」
さくらの頭の上にハテナが出ていた。こういうさくらはなかなか見られないので新鮮だ。
「行きは馬で早く家族の元へ帰るから、帰りは荷物を沢山積んでゆっくりあの世へ帰るという意味を込めて作られたんだって。」
「へぇ、そんな意味があるんだ。私はお盆は家族が全員休みで忙しいってイメージしかなかったよ。」
「まぁ、さくらにとっては地獄だったよね…」
という事で割り箸ときゅうり、ナスを持ってきて作った。意外と突き刺すのは難しかったから包丁を使って穴を作って差し込んだ。きゅうりはもう少し太い方が良さそうではあった。
「出来たね。」
「ええ、今日のお昼はそうめんにしようか。」
「えっ、何で急に?」
「お供物によ。」
という事でお昼ご飯も同時に決まった。
「暑い…」
「暑いわね…」
今私たちはそうめんを湯がく為にお湯を沸かしていた。
そして、お湯が沸いたら食べる分のそうめんを湯がいて、水に戻してお皿は盛り付けた。
先程作ったきゅうり馬とナス牛の前にお供物として置き、私たちはその横でつゆに浸しながら食べた。
「ふぅー暑いなか作って食べるそうめんは格別ね!」
「うん!でも、お姉ちゃんは殆ど何もしてなかったよね?」
ジト目でさくらがこちらを見ていた。
「あ、洗い物は私がするわよ!」
それを聞いてようやくさくらはジト目から通常に戻った。
「ねぇ、お姉ちゃん、これは何処に飾っておくの?」
「えっ?」
「だって、家に仏壇がないでしょ?」
「そうね、調べてみるわ。」
私は携帯で少し調べてみた。
「うーん…玄関先でも良いみたいね。ただ置く時は家の中から見て外を向く様にしてくださいだそうよ。」
「そうなのね。じゃあ置いてくるね。」
さくらはそう言うときゅうり馬とナス牛を持って玄関へと向かった。
そして戻ってくる。
「じゃあ、残りのそうめんも食べてしまおうか。」
「うん!」
そうして、私たちは残りのそうめんを啜るのであった。
きゅうり馬とナス牛って作るの難しい。普通に刺そうとしたらなかなか入らないし、力入れ過ぎたら割り箸折れちゃうし。貫通しちゃうし。不器用過ぎて笑えますね。
それではここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新もお楽しみに!




