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序章
下種達から解放されて、一週間が経った。
満身創痍の身体を引きずり、澱んだ気持ちを鼓舞しながら、家がある場所へと、やっとの思いで戻ってきた。
何度も挫けそうになりながら、幼き彼は泣かなかった。
泣きたいのに、涙がもう出てこなかった。
身体を気遣うことなく、汚れ切った顔で彼は眼前に広がる森を、呆然と眺めていた。
(もう・・・・林じゃない・・・・・)
分かってはいたが、淡い期待も空しく、時間が過ぎているのを痛感する。
失望を抱きながら、少年はその場に眠るように倒れ込んだ。