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1話 めんご


 私の名前は、グレア・モース・キールファクト。キールファクト王国の名を継ぐ、俗に言うお姫様というヤツです。自分で言うのもなんですが、見た目はそれなりだと思います。髪の毛は長く艶やかですし、色は金色……というより、黄金色です。輝いています。顔も、ほら、小顔で目が大きくて、唇もキレイなピンク色。スタイルもよくて、おっぱいも、男性の手に余るくらいの大きさがあるんです。

 家族構成は、国王である父上に加えて、妃である母と、3人の兄に、2人の姉がいます。私は末っ子ですね。

 そんな、超絶美少女な私が、この国に生れ落ちて早15の年月を数えようとしています。だというのに、私のお誕生日を祝ってくれる人は、いません。何故か、だって?だって私、家族に嫌われてますから。

 というのも、私を産んでくれた母は、実は父の浮気相手の女性なんです。母と言うものがありながら、不貞を犯した父に、母を始め仕える者達は、当然怒りました。怒り心頭です。激おこです。


「めんご」


 それに対しての、父上の謝罪の言葉でした。

 結果、父が強引に迫ったことが原因という事で、私は国王の正当な子供と言う事で、話は纏められたそうです。物騒な世の中、もしかしたら殺して、全てなかった事にされていたかもしれませんが、父上はその辺りあまあまで、ゆるゆるなので、助かりました。

 一方で私の本当の母ですが、私は会った事がないのでよく知りませんが、父上曰く、豪胆で旅好きで、若くて良い女との事。私を育てることは断固拒否して、産んですぐに旅に出てしまったようです。なので、どこにいるのか、誰も知りません。会ってはみたいですが、私を育てる事を拒否したクソ親なので、たぶんろくでもない人だと思います。

 ああ、別に恨んではないですよ。だって、母が私を育てると言っていたら、このように優雅なセレブ生活はできなかったでしょうから。

 うーん……細やかに手入れをされたお庭を眺めながら飲むお茶は、最高ですね。

 お花は私よりはキレイではないけど、それなりにキレイです。それに、私よりはキレイじゃないけど、小鳥さんがさえずり、私を祝福しています。

 あ、糞をしましたね。屋根つきのガーデンテーブルじゃなければ、私に命中する所でした。あの鳥、次会ったら殺す。


「このお茶は……ダージリンですね」


 私は、傍でポットを手に立っているメイドに、そう尋ねました。

 彼女の名は、オリアナ。まだ若いですが、この私に専属で仕える、優秀なメイドです。私ほどではないですが、彼女も中々キレイなんですよ。黒髪のショートカットで、前髪は切り揃えられた、所謂オカッパという髪型をしています。目つきはちょっと悪いですし、いつも無表情で何を考えているのか全く分かりません。でも、怒るとちょっと怖いんです。そんなでも、まつ毛が長くて、よく見るととても可愛らし顔をしています。


「さすがは、グレア様」

「ふふん」


 幼少期から、高級なお茶を飲んで育ってきた私にとって、銘柄を当てる事など容易い事。


「こちら、アールグレイになります。簡単な物にしたつもりですが、グレア様なら外してくださると信じておりました。究極の味音痴ですね」

「……そ、そう。アールグレイ。そうだと、思ったんです。ちょっと、間違えました」

「実は、アールグレイでもありません。そもそも紅茶でもなく、こちら東方の国の、緑茶と言うものを取り寄せた物でございます。色で、分かりませんでしたか?」


 そういえば、いつもより緑っぽくて、コレ本当に紅茶かな?どうなのかな?でも、オリアナが淹れてくれるから、紅茶よね。て思って、信じていたんです。見事に裏切られました。

 このクソメイドは、昔からこうやって、私をからかって遊んでくる、性悪女なんです。顔に感情が出ないので、嘘を見破ることも難しく、本気か冗談かの区別もつき難いです。

 きっと、前世はゴーレムですよ。感情を持たない、人に言われたことしかできない所だけ、今世も受け継いじゃったんです。いやまぁ、言われたこと以外をしてくるんですけどね。


「わ、分かってたしっ!もう、銘柄なんてどうでもいいです。それより、魔族どもの侵攻の方は、平気なんでしょうね」

「さぁ。一介のメイドである私には、分かりかねます。……ちょっと考えれば分かる事でしょう」


 いちいち、一言多い。このメイド、いつか仕返してやる。

 それより、この国は現在、厳しい状況に置かれている。というのも、この国、今攻められているんですよ。隣国の、魔族どもに。奴ら、野蛮で知性の少ない、獣みたいな連中です。男は皆殺しで、女は犯し、死ぬまで陵辱される。私みたいな美少女が捕まったら、私を奪い合って争奪戦が始まるんじゃないですか。想像するに、容易いですね。


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