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悠久の時の中で2

絵に描いたような田舎だなと、マリアは依頼者の後を歩きながら思っていた


「ここです」


男が一軒の家の前で立ち止まった

近所に他に家は無く、あるのは田んぼと山だけだった


「こんな田舎の一軒家に化け物が潜んでるのか?」


「今にわかりますよ」


男がドアをノックし声をかける

しかし、家の中からは何の反応もない

もう一度ノックをする

ようやくドアが少し開き中から声が聞こえた


「またお前達か」


「はい、今日こそ良いお話をと思いまして」


「忠告したはずだ!次はないぞと!」


家の中の声が荒ぶると同時に勢いよくドアが開き声の主が飛び出してきた

マリアは依頼者の前に飛び込み攻撃をチェーンで受け止める


「ほう、今度の用心棒はヤワではないようだな!」


マリアは相手を弾き距離をとった


「私と家主の話がつくまでその方を引き付けていて貰えれば、先程お話ししました通り倒していただけるのであれば報酬もはずみますので」


「生憎だがトシコは今ここにはおらぬ!」


「それでは、ご帰宅なさるまで待たせていただきます」


「ふざけるなぁあ!」


再びアレイスターが依頼者へと飛び掛かる

マリアも再び依頼主を守るようにチェーンで攻撃を受け止める


アレイスターはチェーンを掴みマリアごと上へ放り投げた

マリアはすぐさま空中でチェーンをアレイスターへと伸ばし、腕へと巻き付けて着地し

今度はマリアがアレイスターを放り投げた


「ほう、どうやらただの人間ではないようだ」


アレイスターが空中からマリアに向かって一直線に落下してきた

マリアはチェーンで受け止めたがあまりの勢いに地面が大きく沈んだ


「お前、何者なんだ!」


「ふん、貴様のような人間に名乗る必要などない!」


マリアが殴りかかるのをアレイスターも拳で対抗した


「アレイスター!」


その時、1人の老婆が駆け寄ってきた


「トシコ、来てはならん!」


「何言ってるんだい!ムチャをするのはよしなと何度も言っただろう?」


「無茶などしておらぬ、トシコ、はやく家の中へ」


2人のやりとりをマリアは只呆然と見ていたが依頼者から声がかかる


「私はその方とお話しをしにきたのです、さぁ、引き続き護衛をお願いしますよ」


アレイスターはトシコを庇うように立ちふさがり怒りの形相でこちらを睨み付けている

マリアは何かがおかしいと感じ始めた


「なぁ、まだ聞いてなかったけどさ、その婆さんと何の交渉をするんだ?」


「それは、全てが終わった後で説明するのではいけませんか?」


「いけないね」


「説明している時間は無いと思われますが」


依頼者がアレイスターを指差す

今にも飛び掛かってきそうな殺気を放ちこちらを睨んでいる


「そうかよ、じゃあコイツに聞けばいいな!」


今度はマリアからアレイスターへ仕掛ける

マリアの拳をアレイスターは受け止め、逆の手で爪をたてマリアへと振り下ろす

マリアは手首を掴み、前蹴りをした

アレイスターがかわそうとマリアの手を振りほどき後退した


「何も知らず雇われているのか」


「そうだよ、だから教えてくんないかな?」


「単純な事だ、そいつらが土地を譲れと何度も押し掛けてくるので我が追い返している、それだけの事だ」


「はぁ?そんなドラマでよくみるような事、本当にあんのかよ?」


「我はこの家を守らねばならぬ!何度来ようと、何者を連れてこようと、我は退かぬ!」


「なるほどねぇ...」


マリアは両手を軽く上げて降伏のポーズをとるとアレイスターへ背を向けた


「これじゃあこっちが悪者じゃん、瑠智愛、帰るぞ」


「せ、先輩...」


引き上げようとするマリアの腕を依頼者が慌てて掴んだ


「ま、待て、何を言ってるんだキミは」


「うるせぇな」


「分かった、報酬を見直そう、いくらがいい?可能な範囲でなら希望に応えよう」


「何億つまれてもやらねぇよバーカ」


マリアは依頼者を馬鹿にするように舌を出し手を振りほどいた


「自分達の金儲けの為に他人の生活の邪魔してんじゃねぇよ!」


吐き捨てるように言い残しマリアは去っていった


「おい!待ちなさい!おい!」


「さて、用心棒に逃げられたようだが、どうする?まだやるというのなら命の保証はせんぞ?」


「ヒッ...き、今日はとりあえず帰るとしよう」


「今日は、だと?やはり今度こそ仕留めなければならぬな」


アレイスターが腕を振り上げる


「待ちな!人を殺めちゃいけないって言ってるだろう?」


トシコがアレイスターを制止した


「し、しかし...いや、そうだな...トシコにも迷惑がかかってしまう」


アレイスターは腕をゆっくりと降ろし、トシコとともに家の中へと引き上げていった


「クッソ...化け物め...覚えてろよ...こうなったら最終手段だ...」

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