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535、身分の上がる覚悟

風呂に行くと、すでにレスラカーンが先に入って湯に浸かっていた。

地の神殿は温泉が引いてあるので、大浴場には常に湯が満ちている。

3つ岩で出来た大小の浴槽があり、グレンとオキビが手際よくリリスの服を脱がせて大判の布を巻き付け、胸から下を隠す。

ちょっとホッとした。

が、2人は袖とズボンをまくり上げるだけで服を脱ぐ気配がない。

入ると、すぐにグレンたちがリリスの身体に湯を流し始めた。


「私は自分でやりますから。ご一緒しましょう。」


「いいえ、我らはお世話させていただきます。」


「自分で出来るので、お風呂に入ってくださいませ。

城から一気に飛んでくるのは大変だったでしょう。」


「お気遣いなく。巫子様のお仕事に比べれば、虫のごとく些細な物。

お疲れでございましたでしょう。どうぞごゆるりと。」


いや、そうではない、そうではないのだ。

風呂くらい1人で入ります。ここは貯め湯があるので、楽ちんだし。

いや、何よりこのままでは、身体を2人になで回されてしまうじゃないか。

それだけは阻止しないと!

駄目だ、ハッキリ言わなくては! 強気で! ビシッと!


「いえ、お世話されてはゆっくり出来ないので。放って置いて下さいませ。」


「いけません、こう言うことには慣れていただかなくては。

それでは、清めの儀に入らせていただきます。

失礼致します。」


ええええええ! 何でこう言うことには言うこと聞いてくれないのーー??


ガーンときてると、グレンが身体をトンと後ろに倒して膝に座らせた。


「えっ? な、なに? 」


「失礼致します。」


仰向けで、後ろに倒され肩を支えて髪に湯をかけられ、サボン(石けん水)で洗い始める。

グレンは爪が長いので、やんわり指の腹で抱っこされて洗われていると、ほわーっとした気分になる。


え〜〜、何だろこれ、気持ちいい。


くまなくやんわり髪を洗われると、さあっとオキビが湯を流して泡を流す。


「お熱うございませんでしょうか? 」


「は、はあ、あの〜、気持ちいいです。」


手を胸の上で願うように組み、されるがまま洗ってもらって、気持ち良さに堕落しそうになる。

タオルで髪を包み、起き上がると身体に巻いた布を外し、今度はオキビがサボン液を手に取り身体を洗い始めた。


「ひゃ、ちょ、うひゃああ! 」


手でなめらかに撫でまわされて、くすぐったいより滅茶苦茶恥ずかしい。

感触がなんか、うわーーって感じで言葉に表せない!


「あの、あの、ほんとに自分でやりますから。

そんな、なんか手で直になで回されるとか、ひゃああああ!

せめてタオルでしてえええ! 」


「承知いたしました。」


2人がかりで丹念に身体を洗われて、頭の中がパニックになる。

手足に腹に背中を洗われ、残すはとてもヤバいところだけになってしまった。


「失礼致します。」


マズい! とても! ちょっ! いやあああああ!


「ここは大丈夫ですから! 大丈夫だから、大丈夫なんですよおっ!

えっ?えっ? やだやだ、自分でやりたいんで…… キャアッ! 」


後ろから股間に手を差し込まれ、前からも、やわやわと丹念に洗われてしまった。

はあああああ、おちんちんの先まで綺麗に、あ、あ、あ、

おちんちんを、そんな丁寧に洗ったことないですううう!


「あ、あ、あ、あ、」


呆然と、股間を洗われ、自失する。

ストンとオキビの膝に座り、後ろから支えられて足の指も1本1本丁寧に洗われて、立ち上がるとザアザア流された。

これほど自分の身体が綺麗になった事があるだろうか。

いや、ないと思う。


「さ、湯に御浸かり下さい。石など無いか、確認済んでおります。」


浴槽まで手を引かれ、グレンが待つ浴槽へと向かう。


「え? え? ここの浴槽は綺麗ですよ、確認不要です。」


「いえ、刺客が隠れることもございますので。」


「だから、ここは神殿ですってば! 」


ハッと横を見ると、レスラカーンを世話する風呂番の担当が顔をヒクヒクさせている。

ニッコリ、会釈して、あとは静かに入ることにした。


「クククク、巫子殿、なかなか難儀しておられるようだな。」


レスラカーンが、隣の浴槽で笑う。


「自分で出来ることはしたいのですよ〜 

下まで洗われると、とっても恥ずかしいです。」


「こう言うことの極意をお教えしようか。」


「よろしくお願いします。」


「されるがままが、助けになる。だ。」


「誰の助けです? 」


「世話する者の助けだよ。まわりをあまり困らせるな。

身分が上がれば相応に覚悟がいるものさ。」


「はあ、 」


「フフフ、まあ、徐々になさるが良かろう。

あなたには、嫌みが無いからまだ可愛い方だ。

上がるよ、着替えはあるかい? 」


上がり場で待つ、女官が頭を下げた。


「ご用意しております。

上着は丈が長いものでよろしゅうございますか? 」


「上着は簡単な物で。動きやすいものがいい。

ライアが気がついたら本城へ戻りたい。」


「はい、お付きの方々が準備を進められております。」


「それは上々、気が利いているな、すぐに次の行動へ移れる。」


「お伝えしましょう。」


ザアアア……


レスラカーンが手を借りて浴槽から上がると、横から2人で身体を拭き上げる。

あー、確かに、お仕事はスムーズで短時間で終わる。


「覚悟か〜〜 」


リリスが浴槽のヘリに手をつき、レスラカーンをじいっと見ていると、手を引かれて更衣室に消えていった。

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