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赤い髪のリリス 戦いの風〜世継ぎの王子なのに赤い髪のせいで捨てられたけど、 魔導師になって仲間増やして巫子になって火の神殿再興します〜  作者: LLX
25、青の巫子の目覚め

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巫子の仕事

うろたえるゴウカに、リリスが毅然と言い放つ。

それはただ首を突っ込むといった軽々しい物では無く、リリスなりに訳があった。


「ゴウカ様、グレン様、これは恐らく巫子の仕事、だからこそ手を尽くさねばなりません。

私は、現状では巫子としての経験不足です。経験を積まねばなりません。

守られ、安全な箱に入っていては駄目なのです。

どうかおわかり下さい。」


そこまで言われては、ゴウカも口を挟めない。

リリスがミランを向き、ミリアムにも軽くうなずいた。


「ミラン様、お知り合いですね、どうぞ、ご一緒にお聞き下さいませ。

ブルース様、申し訳ありませんがパドルー様をお呼び願えますか?

川という事は、水の精霊の関わりがある気がします。

どうぞ中へ、大変失礼致しました。

地の神殿からイネス様もいらっしゃっておいでです。どうぞ、失礼の無いようお願い申し上げます。」


「おお、イネス様が!それはありがたい!なんと言う幸運だ!

従兄弟は、赤と白の巫子をと精霊王に言われたと言っていたのです。

ですが、私が事態を軽く見てしまいました…………」


「シールーン様が?

私に出来る事があるかどうか分かりませんが、とにかくお話をお伺いします。」


さっさと中へ客人を通すリリスに、グレンがため息をついてゴウカを振り返る。

ミランがショックで凍り付くゴウカの肩にポンと手を置き、耳元にささやいた。


「一緒に聞いて下さい、お願いします。

あなた方が補佐しないと、我ら普通の人間ではどうしようもありません。」


ふと顔を上げるゴウカが、当然とうなずく。

ゴウカはグレンと顔を合わせ、小さく話しかけた。


「やはりお止めできなかった,済まない。」


「あの方の性格だ、こうなる事はわかっていたとも。

経験不足は,確かにその通りだ。

ホムラからまた怒鳴られるのは覚悟の上。

リリサ様も、巫子は人のため、精霊のためにいると常々おっしゃっていた。

だが、まだ眷族がいないのは痛い。

我らの力を尽くそう。地の巫子もいらっしゃるのは幸いだ。」


「ああ………すまない、すまない………私がもっと……」


「ゴウカ、落ち込んではならぬ。巫子様の仕事に差し障る。

我らは感情を殺し、常に無心でおそばに控えるのだ。

お主もまだ経験不足という事を忘れていたぞ。」


何かあってはどうしようと、落ち込むゴウカがハッとして唇を噛んだ。

グレンが彼の背を、しっかりしろとパンと叩く。

カツを入れられたような気がして、ゴウカは背をただすとリリスのあとを追って部屋へ向かった。





館の応接間で、リリスはイネスに話を通したあと、ミリアムの話を詳しく聞いた。

一通り、セリアスに相談を受けたこととあの小川であったことを伝える。

だが、彼は少年とセリアスの関係を深くは語らなかったために、2人の関係が希薄に思えてイネスが不可解な様子で眉を寄せる。

リリスは自分とザレルのような関係かと、なんとなく話を聞いていた。


「一晩待っても帰ってこないのです。

魔導師殿は水の神殿から巫子を呼んだ方が良いと言って帰ってしまわれるし……

私は……もう、あなたとイネス様に頼るしかありません。」


ミリアムは、決してリリスを巫子と呼ばない。

神官たちはそれが気にくわないが、リリスは特に気にしていないようだ。

カッとくるグレンも、無心、無心と、グレンを見て頭を必死で冷やしていた。


リリスが考え、イネスに言葉をかける。


「毒を吐く、と言うのが気になりますね。」


「そうだな、水の精霊が何かあって一時的に保護したとして、なぜ精霊の国に保護したままでいるのかが不可解だ。この世に戻すと何か不都合があるのかも知れない。」


「イネス様にお話しした、あの地下の話しが関係するのかもしれません。

この世と精霊の国では、次元が違うので、さすがに悪い物が届かないのかも。」


ミリアムがいるだけに、詳しい話ができない。

悪霊の話しは、出来れば城の塔の魔導師に話したい事だ。


イネスがふうと息を吐いて、怪訝な顔でとうとうミリアムを向いた。


「それで、なぜその少年は小姓を首になったんだ?」


「それは………存じません、何か粗相をしたのでしょう。」


ミリアムが、目をそらして言葉を濁す。


「剣の指南をしただけで、なぜ首になったあとまで追うんだ?

お前の話は2人の関係がボンヤリしていて,十分につかめぬ。

隠し事など無用だ。」


無用と言われても、恥ずかしくて話しにくい。

ミリアムがひどく汗をかいて、周囲をとても気にする。

せめて二人きりなら話せたかもしれない。

だが、彼の目は横に控えて聞いていたパドルーが気になる様子だった。


こんな美しい方を横にして、一族の恥を、まして男同士の痴態をさらすのは恥ずかしい。


ミリアムは何度も話しかけては口を閉じ、口を閉ざしてごまかす言葉を探した。

精霊がらみのトラブルならば、それは巫子の仕事です。

ですが、ミリアムは意外と堅物で優柔不断の男です。

男の子に手を出してなんて、俺には言えねえ!

彼は彼で、まあ可哀想な立場です。

身から出たサビとも言うw

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