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赤い髪のリリス 戦いの風〜世継ぎの王子なのに赤い髪のせいで捨てられたけど、 魔導師になって仲間増やして巫子になって火の神殿再興します〜  作者: LLX
25、青の巫子の目覚め

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巫子の後ろ盾

その場にいた皆が一斉に、名を継いでメイスからマリナ・ルーに名の変わった彼に頭を下げる。

その場にいた光栄に、言葉も出ない。

いつまでも頭を上げることが出来ないでいると、魔導師グロスが声を上げて場が緩んだ。


「何という光栄。新しき火の巫子、ご誕生をお喜び申し上げる。」


グロスが杖を左手に、右手を胸に当てて、レナファンと共にあらためてお辞儀する。

息をのんでいたルシリアが、大きく息をついて片足を引きお辞儀した。


「今日の良き日に、美しいご誕生の瞬間、堪能させて頂きましたわ。

あなたは確かに尊き御方。ね?兄様?」


ガルシアが、感嘆の息を吐く。


「これは……なんと言ったらいいのだろうな。

素晴らしいものを見せて頂いた。

そなたのその変貌の様子は、確かに生まれ変わったと言って頷ける。

このガルシア、火の巫子の後ろ盾に立とう。

貴方は何を望むのか?」


ガルシアの前に立ち、マリナが一つお辞儀する。

そして、可憐な唇を動かした。



「  私は………    赤の巫子、リリスの元へ    」



その声が、二重になって空気を揺らす。

その場の人たちが胸を押さえ、息が詰まるように心を揺り動かされる。


「  おお、これは   」


グロスがまぶしいものでもさえぎるように、杖を額に当てて手を震わせた。


「神殿の無いことが、これほど悔やまれることがありましょうか。

火の巫子がこれほど尊きものとは……火の神殿については、すべての記録は焼き払われたと聞き及んでおります。

あなた様を初めて目にして、その理由がわかるような気がします。」


ガルシアが、その横で軽く頭を振ってパンッと頬を叩いた。


「なんという、そなたの力か。

一体どのくらい修行した?」


マリナが唇に、指を立てて考える。


「何十年でしょう…忘れるほどに長い年月を黄泉で過ごして参りました。

てっきり、こちらの身体はおじいさんだと思っておりましたが。うふふ…」


ペロリと舌を出す。

愛らしい仕草は、おじいさんにはどうにも見えないが、彼はそれほど修行を積んだのだ。


「は!やれやれ、リリスはたいした物だと思ったがな。

お主もなかなかの者だ。

大義である!


さて!」


振り向くと、部屋はドアまでみっちりと、兵や騎士や下働きまで来て埋まっている。

やれやれ、暇人ばかりだな。

呆れたように肩をひょいと上げ首を振り、彼らに手を上げた。


「しっかり見たか、お前たち!

この子は巫子だ、間違いない。

過去は忘れろ、この子は生まれ変わった!」



「「「      おお!!!      」」」



一同が、拳を上げて返事を返す。

ガルシアが、制して言葉を続けた。


「よーし、ここで一仕事ひとしごとだ!

このガルシア!火の巫子の後ろ盾になると決めた。

決めたからには動かねばなるまい!


我が領民たちよ!


火の巫子が姿を現したと触れ回れ!

特に、国中を歩く商人、旅人、国境の警備まで全部だ。

王家が喜んで火の神殿を作ると触れ回れ!


良いか!!


王家は、喜んで!神殿を作るのだ!


それ!仕事に戻れ!

兵は交代して今見たことを町中に語って聞かせろ!!


行け!!」



「「「  ハッ!!  承知!!  」」」



バタバタバタ!!


その場にいた者達が、一斉に頭を下げて部屋を出る。

その人々の顔は、巫子の誕生に触れて心からの感動に包まれ、そして沸き立つ心を抑えるように拳を握りしめる。

口々に、感動が収まる前に、声を上げる。

なじみの無い巫子の名前は、その誕生を見た人たちの感動が後押しして大きく広がり、そして街道を広がって山を越えていく。

アトラーナという小さな国で、そのスピードはみるみる増して、国中が沸き立つのにさほど日数はかからなかった。




メイスが腕輪を付けた瞬間、本城の王子の隣の部屋で、リュシーの髪をくしですいていたフェイクが微笑み、顔を上げた。

薄いカーテンから日の光がこぼれ、テーブルのガラスの水差しが輝く。


「良き……日だ」


フェイクののつぶやきに、リュシーがニッコリ笑う。


「なあに?」


「とても良いことがあったのだ。生きる力だ。

欲し、欲される存在というものを………ああ………久しく忘れていた。


黄泉の……よ、感謝する。


汝を祝福しよう。我が愛する巫子よ。」


フェイクの胸に、熱い物がこみ上げようとする。

今はそれを押さえ、心を抑えるようにふうっと息を吐いた。


リリスにも、ガルシアは自分の名を盾にしろと言って力づけました。

ガルシアは大きな男です。

それでも実質本家には逆らえないながら、マリナ・ルーの誕生を目にして声を上げさせます。

彼自身も一つの賭けです。

本家から罰を受けても、全面バックアップの激しくプッシュです。

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