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赤い髪のリリス 戦いの風〜世継ぎの王子なのに赤い髪のせいで捨てられたけど、 魔導師になって仲間増やして巫子になって火の神殿再興します〜  作者: LLX
24、黒い悪霊からの逃亡

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王子の嘲笑(陵辱注意)

日も落ちて、酒場の明かりが灯る頃、城下の町の外れで頭からすっぽりとフードを被ったマント姿の小さな影が、小屋の横の傍らで隠れるように座っていた。

小屋は近くの家の物置きらしく、2軒並んで裏には草丈の長い草が生えた土手が広がり人の気配は無い。

その先には小川が流れ、日が落ちると精霊のものなのか、飛び交う光りが、見える者には見えるとうわさもある。


遠くから、酒場の笑い声が小さく響く。

日も暮れると、出て歩くのは酔った男たちと見回りの兵くらいだ。

子供がうろうろするのはあり得ない。

あり得るとすれば、それは親無しの浮浪児か物乞い。もしくは花売りと呼ばれる身を売って日銭を稼ぐものだ。

だが、その少年は、マントの下の身なりも良く、何かと会話しながら目的がある様子だった。



少年が、マントの中のたすき掛けのカバンから、かけらを大切に取り出す。

すでに町を囲んでいくつだろうか、微塵に壊れたかけらを一つ一つ町を囲うように埋めてきた。


少年は、キアナルーサの元小姓。

キアナルーサを乗っ取っているランドレールに呪われ、城から放り出された少年だった。

彼自身、かけらを設置することにになんの目的があるのかは知らない。

ただ、割れた花瓶のかけらに王子が自分の血をこぼし、町を囲うように設置せよと命を受けていた。


キョロキョロ辺りを見回し、石積みの間に無理矢理挟もうとしてビクッと手を止める。


「はい,…承知致しました。土に埋め込みます。」


人の踏まないところを選び、ランドレールの血のシミが入った面を上に土に押し込む。

そして、見えないように草で隠した。



「おい、そこで何してる」



壮年の男の声に、ハッとして振り向く。

ランプ片手に酔った男は、怪訝な顔をして足下がふらついている。


「旦那様何か?」


少し離れて、使用人のような声が小さく聞こえた。


「よい、お前は先に帰れ。いちいちうるさい奴だ!」


「旦那様、また女ですか。また奥様に叱られますよ?」


「うるさい!帰れ!余計なことを喋るなよ!」


男は腹立たしくそう言うと、こちらへ近づいてくる。


少年は、無言でその場を走り去ろうとして、うっと胸を掴んだ。

頭に響く言葉は、嘲笑に満ちて命令してくる。


「い、いやです…どうか……」


苦悶の声を上げ、耳を塞いで苦しそうに小さく小刻みに息を激しくつきながら、必死で頭を振った。

身体が、思うようにならない。

男のかざすランプの明かりに見ると、吐息に黒いもやが混じり、慌てて口を塞ぐ。


「うう、いやです、お許しを。あの方以外はいやなのです。

私は、決して花売りなどでは……ウッ……」


口を塞ぎ、嫌だと涙をうるませつつ、その場に立ち止まり男の方を向いた。


「おい、浮浪の者か?それとも花売りか?おい!返事をしろ!」


少年が、駆け寄ってパッと彼に飛びついた。

男の首に両腕を回し、片足を男の腰に巻き付ける。


「しッ、どうかお静かに」


「な、なんだ?お前…、男の…花売りか?俺は女の方が……」


涙にうるんだ上目遣いの妖艶な微笑みに、思わず男が素っ頓狂な顔をして、少年を恐る恐る片手で抱き、辺りを見回す。

誰もいないのを見計らい、男は少年を抱いて酒臭い息を吐きながら、そのまま小屋の壁に身体を任せた。


男は異様に興奮して、そのまま足を進めてゆく。

土手を降りると長い丈の草に隠れるように少年を押し倒した。

ランプを掲げ、少年のマントをしとねにこちらを向かせる。

白い顔に整った目鼻立ちが、明らかな貴族のような気高さを感じて、男の被虐心をそそった。


「これは良い、上物だ。」


「あ、はあ、はあはあ…旦那様、どうか…どうか、お慈悲を……」


少年は美しく、月明かりの下で見るそれは中性的な美しさに神々しいまでに輝いている。

少年の目が大きく見開き、男の影が魔物のように視界を塞ぐ。


こんな、恐ろしい事がこの世にあるのだろうか


こんな……こんな……


王子の狂気に駆られた嘲笑が、耳に響いている。


男の手が、荒々しく少年を蹂躙してゆく。

そして、男の高ぶった吐息が、密やかに興奮した声が、誰もいない草むらにしばらく続いた。


*R15なので、後半ちょっと削りました。

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