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赤い髪のリリス 戦いの風〜世継ぎの王子なのに赤い髪のせいで捨てられたけど、 魔導師になって仲間増やして巫子になって火の神殿再興します〜  作者: LLX
20、リリスの帰宅

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213、リリス、再始動

地下のミスリルの村では、ガラリアが神域に入ってからと言う物、神殿に向かって祈る人が増えていた。


裂け目から奥へは通常は勝手に入ることが出来ないので、入り口の小さな社に火をたき、畑仕事が終わって手が空くと、手を合わせて祈っている。


「皆さん、村の方々は本当にセレス様を慕っておいでなのですね。」


リリスがつぶやくように言うと、村長むらおさが視線を落として目を閉じる。


「あのお方なくして、この村はここまで栄えなかったのです。

我らは長命とは言え、もう3代、4代と変わりましたが、代々あのお方への恩は忘れるべからずと伝えられております。


ヴァシュラム様は気まぐれなお方、ご自分に利がなければ、我らなどに気を回されることはなかったでしょう。

御方様がお口添え下さったおかげで、こうしてこの村は存続しているのです。


我らは、御方様なくしては今の生活の存続さえ危ぶまれましょう。

あのお方のお慈悲におすがりして、こうして毎日が送れます。感謝しかありません。」


もし、……今、セレスを失ったら……そう考えると空恐ろしいのかもしれない。

あの神殿も、この村も、「いらない」とヴァシュラムが言えば、彼らはそれに従うしかないからだ。


「だから……御方様は村の安定を危惧されて、聖域の守護を条件に、この村の存続をと話を何度も付けて下さったのですが、地の王は取り合って下さらないと……


ヴァシュラム様も、すでに御方様をそばに置かれて300年。

すでにあの御方からも、心離れていらっしゃるのではと……

だからこそ、御方様のご無事が心配でならないのです。」


心が離れる……そんなこと……


リリスが目を閉じ、手を合わせる。

何か心に思い浮かぶ物がある。


ああ……そうだ。


「私は、しばらくヴァシュラム様の元でお世話させて頂いたことがあります。

その時、不思議に思って聞いたのです。


何故、地の巫子は4人もいらっしゃるのですか?と。

すると、こう仰ったのです、一人はかなめになる者、一人は攻める者、一人は守る者、そしてもう一人は…わしにとってかけがえのない大切な者だと。


私は、てっきりかなめになる者はセレス様だと思っていました。

でも、きっと、要はイネスだと思うのです。

理由など私にはわかりません。でも、イネスはそう思わせるものを持っています。


それに、セレス様はいつもどこか……遠くを見ていらっしゃいます。

とても頼りになる方なのに、何故か心がここに無いような……あの方は、きっと他に何かがあるのです。

生きる意味が、私たちの知らないそこに。

だから、きっと、ヴァシュラム様にとっての大切な方とはセレス様に違いありません。


そうそう、だって……ウフフ、だって、滅多に向こうの世界の家に来られないセレス様が、お見えになる時って……

なんと言ったら良いのか………そう。


お見えになるときのヴァシュラム様と言ったら、凄くカッコいいのです。

うふふ、朝からソワソワされて、とっても嬉しそうです。」


明るく微笑むリリスに、村長がフッと息を吐いてニッコリ笑う。


「どうしたものか、あなたにそう言われると、きっとそうに違いないと思ってしまいます。

ありがとう、あなたの言葉は希望になります。

我らも、あなたが無事に火の巫子となる日を祈っております。」


「ありがとうございます。もっと色々と神官様方のお話を聞きたかったけれど、明日出発することにしました。

とりあえずは家に帰って、母上様とお会いしたいのです。きっと心配していらっしゃると思うので。

お世話になりました、本当に助かりました。」


「母君というと、風の女王ですかな。

あの方は、あなたを引き取ってから人の心を理解されたそうです。

あなたには、きっとまわりを変えて行く力がある。

どうか精霊のご加護を。ご無事をお祈りしております。」


リリスが挨拶を交わしていると、後ろからガーラントがつつく。

何だろうと振り向くと、そこには白装束の男が3人。

火の神官達が神殿を出て来て、リリスの元へと歩み出た。


「我ら神官は、あなたを見極める為に同行させていただく。

よろしいか。」


「え?ええ、それは願っても無いことです。

私を知りたいと思っていただけたことは、大きな前進ですので。

ただ、私はとりあえずは家に帰りたいのです。

私の母上様は風のセフィーリア様なのですが、よろしいでしょうか?」


「それは承知の上、構わぬ。

我らのことは、一切気になされぬよう。我らも今の時代を知る事が必要ゆえ。」


リリスがにっこり笑って、パンと手を叩く。


「では、グルクも1羽ご提供くださると言うことなので、ブルース様と、ガーラント様、そして神官の方々……えーと。」


「我らにグルクは不要。」


神官と話していると、横からスッとエリンが現れた。


「私をお忘れなく。私はレスラカーン様より、あなたにお仕えするよう言付かっております。

でもその事はすでに過去のこと、私はあなたに仕えたいのです。

これは私の意思です。巫子様、どうかお連れください。」


エリンが、リリスに頭を下げる。

リリスがパッと明るい顔をして、エリンの手を取り何度も上下に振った。


「本当ですか?!信じられません、本当に私に付いてきてくださいますのですか?!

ああ良かった、あなたに来ていただくと千人力です、ありがとうございます!」


ガクガクと手を振られて、満面の笑みでリリスが喜んでくれる。

あまりのその喜びように、エリンは驚いてチラリと騎士二人を見る。

やはり、騎士二人は多少怒って見えた。


「やれやれ、我ら騎士二人では、心許ないと仰せだぞガーラント。

恐らくお前のせいだな。」


「どの口がそれを言う。」


ムスッとする二人に、リリスが飛びつきギュッと抱きついた。


「さあ、騎士のお二方!仲間が増えて、こんなに心強いことはありませんね!

旅支度を始めましょう!」


確かに、これほど心強いことがあるだろうか。

一気にミスリルが4人も増えたのだ。

最強の布陣で、自分たちの影が薄くなるほどだ。


「心せよ、ガーラントよ。俺たちは不要になるやもしれぬぞ。」


ブルースの焦りに、ガーラントがクスリと笑う。


「俺はならぬが、お前はどうだろうな。」


「なにぃ!ふざけたことを言いおって、ミランの分も、俺はがんばるぞ!」


「まあ、ミランの方が良かったと言われぬようにな。」


クックックと笑うガーラントに、ブルースが真っ赤になってジタバタし出す。

良いコンビに、リリスが笑う。

エリンはそれに微笑みながら、神官達に頭を下げて礼を尽くした。

ミスリル一人で10人力とか100人力とか言われているので、リリスは大変な力を得ることになりました。

騎士二人の影が薄くなるっ!


騎士二人「「 ならんぞ! 」」

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