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ロスト  作者: meta night
6/6

真相〈2〉

6

二人は車の中にいた

仕方なく悠希も行く事にしたのだ

実はこれでも免許はもっていた

車をレンタルしてある山の中を走っていた

「ほんとにこっちでいいんですかね?」

助手席に座っている渡辺に聞く

渡辺はかばんからメモ用紙を取り出し、何か確認している

おそらく住所をメモってあるのだろう

「はい、たぶん・・・」

そりゃあこんな森の中にいれば誰だって間違っていると思うだろう

しかし悠希も調べたのだが、どうやらこの辺りだ

群馬県・・・

こんな場所に研究所があるのか・・・


車を走らせる事30分

「もうそろそろじゃないですかね?」

「そうですね・・・」

ここまで会話が全くない

なんとなく渡辺も何かを感じているのか、少し緊張と不安が混じった顔をしている

正直男であるが悠希も不安を感じていた

「あ、あれじゃないですか?!」

渡辺が指を指す

見えてきたのはかなり大きな建物

建物の上には見たこともないサイズのアンテナがある

あまりのおおきさに悠希は口をあけたままだ


「ガチャ」

すぐそばまでやってきたが本当に大きい

正方形の形をしている

ほんとうにこの中に・・・?


「とりあえず行こうか?」

「そうですね」

二人は一歩一歩近づいていった


大きな建物の割にドアはあまり大きくはない

悠希はドアのとってを握り、勢いよく引いた

中は薄暗い

それよりすんなり開いた事におどいた

ということは誰か人がいるのだろうか?

渡辺が前に進んでいったので悠希も後に続いた


「ひ、広いですね・・・」

ほんとうに広い

しかしこのフロアにはほとんど物が置いていない

あるのは山積みになったガラクタや段ボール

不気味さも感じる


「エレベーター?」

そう目の前にはエレベーターとは思われるものがある

その横に1〜3までの数字がある

どうやら3階建てなのだろうか?

とりあえず二人は乗ることにした


二人は2階に来た

ドアが開く

目の前には大きなコンテナが無数にある

ここはいったい・・・なんだ?

しかしここには何もないような気がした

渡辺も同意権だったので、3階に向かう事にした


悠希はこの時点で何かを感じ取った

この上に何かを感じる・・・

第六感がそう言っているような気がした


「立石さん」

「はい?」

「ごめんなさい、これで何もなかったら無駄足になるだけです」

申しわけなさそうに渡辺が頭を下げている

「いや、大丈夫だよ。もしこれでなにもなくてもおれはこの事件を解決させてやる」

前まではこの渡辺という女性がばかばかしい

そうおもっていたが、それは間違っていた

この女性も真剣にこの事件の真相が知りたいんだ

悠希はそう感じていた


「ピン・・」

エレベーターが止まった

・・・ドアが開いた

今度は目の前にいくつもの部屋が見える

仕方なくひとつひとつ部屋を調べる事にした

「行こうか・・・」

「はい」

ただならぬ雰囲気を二人は感じていた



7

3時間はたっただろう

しかしそれらしき部屋はない

やはりここにはなにもないのだろうか

ガセネタだったのだろうか

しかしあとひとつだけ部屋が残っている

ただその部屋の扉は他の扉とはなにかつくりが違う

もうこの部屋にかけるしか手段はない

二人は息をひとつはいて扉を開けた


「・・・ここは・・・」

いくつもの実験道具

広い部屋

ハムスターがたくさんいる

明らかに他の部屋とは中の様子が違った

「こつこつこつ」

二人は固まった

足音・・・

渡辺は泣き出しそうな顔をしている

その時だった

「なんだね?君達は・・・」

・・・

ふり向くとそこには一人の男が立っていた

身長は低く、少し太っている

年齢はすでに50を超えているようなかんじである

しかしすごくやさしい顔をしている


「あの・・・その・・・」

悠希は言葉に詰まった

なんて言ったらいいのかわからない

渡辺はまだ正気に戻っていないのかまだ指を口のところにあて、恐がっている

「ふう・・・まあ座りなさい」

そう指示され、二人は近くにあるソファに腰をかけた


いったいこの人はなんなんだ?

まさか研究員?

わけがわかない状況だ

「ほら、飲みなさい」

渡されたのはあついお茶だ

しかしこんな時にお茶など飲んでいる場合ではない

早く真相が知りたい

悠希は勇気をもってたずねた

「率直におききします!ここには記憶を消す装置があるんですか?!」

その男は立ち上がった

手を後ろに組んでため息をついている

「あの装置は完璧ではなかったという事か・・・」

突然その男は口を開いた

しかしいったい何を言っているのかわからない

悠希と渡辺はただ、その男の言葉を待った

「君らには言わなければならないのかもしれん」

二人はお互いを見合った

「いったいどういうことですか?」

久々に渡辺が口を開いた

ここまでの男の話は全く意味が分からない

しかし一歩ずつ確実に真相に迫っている、それだけは感じ取っていた

「ここからの話は君らには信じられないかもしれない、それでも聞くかね?」

一瞬沈黙になる

「信じられない事はここまでで十分体験しました、だから信じられると・・・思います」

するとその男は歩き出した

「ついてきなさい」

二人はいわれるままにその男についていくことにした



8

歩いている途中、男が話し出した

「ある部屋に行くまでに話しておかなければならない事がある」

ある部屋?

いったいなんなのだろうか

・・・まさか

記憶を消す装置?!

それしか考えられない

「なんですか?」

そして二人はその男の話を聞き始める


「5月9日の深夜だ・・・

ある5人組の男が国会に忍び込んだ

そこには総理や議員がいた

そしてその男達は総理にこう言ったんだ、1月1日午前0時に、地球が爆破する

初めはもちろん信じなかった

しかし、事は起こった

アメリカから大量のプルトニウムが盗まれた

と日本政府に連絡が来たんだ」


「プルトニウム・・・?まさか核の原料という事か?」

悠希が話を切り、聞いた

男は黙ってうなずいた後、もう一度話し始めた


「それでだ、あまりにも偶然が重なりすぎている・・・そう感じたのだろう

日本政府はその5人組を尋問したんだ

どうやらプルトニウムを盗んだのはほんとにその5人組らしい

そこでさらに事件が起こった

アメリカからその情報が漏れたんだ

そのせいで世界中がパニックになった」


「じゃあほんとうに爆破するのか?」

息を呑んで悠希はたずねた

「そうだ」

「ま、まさか!でも確実な証拠がないじゃないか」

悠希は思わず興奮している

渡辺は何がなんだかわからないようで固まっている

「そこなんだが、実はその後調査しに行ったんだ、アメリカと日本がね」

「それで?」

「うむ、ほんとうにあったんじゃよ、地下1950m付近に大量の核爆弾がね」

それを聞いた悠希は頭の中が真っ白になった

それじゃあ今年いっぱいで地球は・・・おわり?

そんな・・・ばかな

そこでひとつ疑問が生まれた

「じゃ、じゃあそこで取り外していればよかったんじゃないか!」

しかしその男は冷静に答えた

「無理なんだ、その爆弾は温度を検知する機能をつけていた。つまり外部に持ち出すと温度差を感知して爆破する、その瞬間に地球はおしまいだ」

・・・

もう何も考えられなかった

もう何も感じられなかった

ただ悠希は唖然とするだけだった


「つくぞ」

しばらく歩いているとさっきはなかった部屋の前にいた

どうやら秘密の部屋があったようだ

男はパスワードらしきものを入力している

渡辺はもう放心状態だ

それはそうだ、地球がなくなる

そんなこと目の当たりにして正常なやつがいるわけない


「うぃーん」

扉が開くとそこにはとてつもなくおおきな装置が二人を見下ろした



9

その装置はどうやらあの装置のようだ

【xx―y22】

間違いない!あの装置だ

「もしかしてこれは・・・?」

「そうじゃ記憶を消す装置だ」

ほんとうだったんだ

渡辺の推理は間違っていなかった

記憶を消す装置・・・信じられない

そんなものが実在するのか

「その後世界中のパニックを防ぐためにこの装置を使ったんだ。もちろん国からの要請だ」

国家らの要請・・

事の重大さに悠希はいまさら気づいた

ではなぜ自分たちはうっすら記憶が残っているのか?

そう聞こうとした時だった

「なんでよー!!!私は記憶が消えてないのよ、これなら聞かないほうが良かった」

渡辺は発狂している状態に近い

悠希がとめようとするが無駄なようだ

渡辺はほっといて悠希は話を進めることにした

「でもなんでおれたちはうっすらおぼえているんでしょうか?」

正直悠希はもう開き直っていた

「それはきっと、その日に強い思いがあったからだと私が推測するに思うんだが、どうだろうか?」

・・・わからない

いったいその日に何があったのか・・・

かろうじて推測できるのはやはり結婚か・・・

「はっきり覚えていないんです、でもきっと結婚が関連していたと思うんです」

その男はすまないという顔をしている

「そうだね、覚えているわけはない。だが相当強い思いだったのだろう」

そうだ

強い思いがあったのはなんとなくわかる

しかしそれがなんだったのかは・・・

「この真相を知っているのは何人ぐらいいるんでしょうか?」

「これを知っているのは全部で15人だ。アメリカの幹部と日本の幹部がそれぞれ4人ずつ、そして私、そしてあとは君達二人と・・・あの5人組だ」

たった15人・・・

その者だけが地球の最期を知っているのか

「まあ君達ならいう事もないだろうが、絶対に他言はしてはいけない。暴動が起きるのは間違いない・・・いいね?」

悠希ははいと弱く返事をした

渡辺はようやく落ち着いたのか、疲れきっている顔をしている

「それじゃあ・・・帰ります」

悠希は渡辺を起こしたが放心状態に入っているので仕方なく運んでいく事にした

不思議と落ち着いている自分が恐い

なぜだろう衝撃的な真相を知ったというのに涙すら出ない

ちがう衝撃を通り越してしまったんだ

きっともう・・・


二人は外に出た

悠希は空を見上げた

雲の隙間から太陽の光が差し込んでいる・・・



10

12月31日

悠希は都内のスクランブル交差点に立っていた

人ごみがすごい

大晦日の日だからだろうか

悠希は帰郷するのを止めた

最期の日は美香と過ごす

そう決めたのだ

待ち合わせの時間までまだ時間があった


今日が最期の日か・・・

全く実感がない

24時間をきったというのに人々は笑っている

そりゃそうか・・・


「もう今年がおわるんだねーたっくん」

「ああそうだな、来年は絶対結婚しような」

あるカップルの話が耳に入ってきた


結婚・・・

ああ結婚できなかったなぁ


悠希は空を見上げた

快晴の空にぱらぱらと雪が降ってきた


人々はくるはずのない明日に希望をいだいていた・・・






エピローグ

11時30分

「さーて、おれらもそろそろ終わるなぁ」

5人組の男はある建物の中にいた

「っふ、おれらがこんな大犯罪・・・いやこんなことするなんて思ってもいなかったな」

5人は酒を飲み散らかしていた

「だな・・・んでよーいったいこの依頼人はだれだったんだよリーダー?」

一人の男がリーダーに問いただす

実はリーダー以外のメンバーは依頼人が誰か知らないのだ

リーダー以外のメンバーは全員興味津々な顔をしている

「まあ最期だしな、・・・アメリカの大統領と日本の総理大臣からだよ」


一瞬沈黙したあと全員がかすかに笑った






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