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ロスト  作者: meta night
1/6

異変〈1〉

プロローグ


何メートルまで来たのだろうか?

2000km・・・それがおれ達の目標

5人の男は耐熱服をきて地下に潜り込んでいた

穴を掘る機械とともに地球の内部までやってきているのだ

目的は・・・


「ここら辺でいいんじゃないか?」

それから何kmか進んだあたりで一人の男がそういうと突然、全員がそれぞれ作業をし始めた

がちゃがちゃ音を立てながら一人の男がとてつもなく大きいものを機械の中から取り出してきた。

その物体を近くに置いた

「ここでいいか?」

その男はみんなに問いかける

・・・

沈黙のあと全員が黙ってうなずいた




【1】異変


1 

「どれにいたしましょうか?」

立石 悠希はある宝石店にいた

ショーケースに置いてあるものはどれも高級で目を疑う数字も見えた

「150万円・・・」

悠希はぼそっとつぶやく

そんな悠希がなぜこんなところに足を運んだのかというと来週の日曜日に3年付き合った彼女にプロポーズをする予定だからだ

彼女の名前は佐々木 美香

大学にいた頃に知り合って3年生の時に付き合い始めた

悠希は付き合うのが3度目でだんだん付き合うということにも慣れてきていたのだが、何しろ相手がはじめて付き合うということだったので付き合い始めの頃はよそよそしかったのだが今では休みの日にはデートをする習慣になっているほどだった

「お客様、こちらはどうでしょうか?」

といって店員にわたされた指輪を手にとってみる

美香の指のサイズは調べていたのですぐさま店員に美香に合うサイズを用意してくれと頼んだ

正直、美香に気づかれずに指のサイズを測るのは容易ではなかった

3週間ぐらい前に美香が悠希の家に泊まった時に美香が寝たのを確認してからこっそりと計ったのだ

美香が起きてしまったらもう言い訳ができなかった状態だったが

そんなスリルが好きだった

昔から悠希はリスクがあることがすきなのだ

今回のプロポーズも多少リスクがある

一つは美香がはじめて付き合った男の人のプロポーズをOKしてくれるかどうかという事

もう一つは美香のお父さんが頑固だという事だ

この二つをクリアしなければ結婚はできない

しかし悠希は少しわくわくしていた

こんなスリルは人生で一度しか味わえない

どんなことにもめげない悠希はそこが長所であり

同時にそれは短所でもあった


「お客様?どうなされました?」

店員が覗き込むようにこちらを見ている

悠希はとっさに我に帰った

「あ、はい!すいません、ぼーっとしちゃって」

悠希はかるく何回かおじぎをした

「いえ、それでこちらでよろしいでしょうか?」

さっき頼んでおいた指輪をわたされた

悠希はポケットにある一枚のメモをみる

そこに書かれていたのは美香の指のサイズだった

「はい!これでお願いします」

メモに書いてあったサイズと同じだった事を確認して悠希はその指輪に決定した

「少々お時間いただけますか?ほんの10分程度ですので」

「あ、はい、じゃあそこで座ってます」

そう悠希は店員に告げると近くにあるイスにこしをかけた

悠希は日曜日に美香と会う約束をしていた

その時の段取りを頭の中で妄想した

まず美香の家に迎えに行って

そして遊園地にいって・・・

そして・・・

・・・

「・・・さま、お客様?」

悠希はすごく眠たそうに目をあける

目の前にはさっきの店員が立っていた

状況を把握すると悠希はとびあがった

「す、すいません!うっかり寝てました!」

今度は頭を深々と下げた

このところ仕事が忙しかったのであまり寝ていなかったのだ

「いえ、大丈夫ですよ。気持ちよさそうに寝ていたので起こすか迷いましたけど・・・」

そういって店員はにこっと笑った

「ほんとにすいませんでした」

もう一度悠希は頭を下げ、店員から紙袋を渡された

おそらくその中に丁寧にラッピングされた指輪が入っているのだろう

「今日はありがとうございました、・・・それと頑張ってくださいね。あなたならきっと成功すると思いますよ」

店員はもう一度にこっと笑い軽くおじぎをしてくれた

悠希も軽くおじぎをしその店をあとにした

悠希は店員の言葉になんだかうれしくなった



2

気づけばもう金曜日

あわてて悠希は朝食を食べようとしていた

ベッドの周りはぐちゃぐちゃ洗濯物が散らばっていた

美香がうちにきてくれたときは掃除してくれるのだが、3日たてば元通りになってしまう

しかし美香は怒らない

掃除をする事がすごく好きらしい

そんな美香に甘えっぱなしの悠希だ

朝食はトーストと決まっている

朝からご飯なんて作っていられないし時間もない

簡単に済むので必ずトーストだ

ふと時計を見てみると針は9のところにきている

「なんだぁ少し余裕あるじゃん」

いつも8時に家を出ているので少し余裕がある

「そういえばあっちの時計壊れてたんだ・・・」

悠希が最初に見た時計はすでに55分をまわっていた

無駄に時計が二つもあるので混乱してしまったのだ

・・・ぼーっとする悠希は日曜日の事だけ考えていた

ここんところ日曜日のことを考えると緊張してたまらない

つい前まではわくわくだったのだがそれが全て緊張にかわっていた


「ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ」

激しく時計から音がなる

悠希はどびあがった

「やばいもうこんな時間だ!」

気づけばもう8時になっていた

結局何も食べる事ができず家を出ることになった


「おはようございます」

会社の中に入ると必ずフロントの子が挨拶をしている

悠希もかるく挨拶をするとすぐさま自分の部署にむかった

悠希が勤めている会社はなかなか大きな会社で年間の利益が3000億を超える

運よく悠希はその会社に就職する事ができた

悠希の親戚がその会社の幹部で父の勧めでこの会社に入社させてもらう事ができたのだ

今ではこの仕事が気に入ってるし生きがいにも感じられるようになっていた


開発部

「おはよう、立石君」

この開発部の部長、南さんだ

南さんはとても気さくな人で悠希はとても信頼している

「おはようございます」

そう挨拶すると悠希は自分の机にむかった

この会社は一人一人しきりがつけられていて集中できる環境になっている

開発部には会議室がいくつもありそこで商品のアイデアを出して会議する

開発部にはさらに6人一組のチームが作られている

これは作業をしやすくするためという効果がある

悠希はイスに座るとかばんを置いてパソコンのスイッチを入れた

パソコンが起動するまでの間は書類のチェックを行う

「今日は会議がないから早く帰れそうだな」

悠希は一人でにこっと笑うと後ろから突然声をかけられた

「おーい悠希くーん?なーに一人で笑ってんだよ」

悠希は部長じゃないのかとホッとするとそのまま後ろを向いた

声をかけてきたのは同じ開発部で同じチームである名倉 要だ

ワックスで固めた髪にきりっとした目、顔がすごく整っておりかなり女性にもてる

しかも要は人にすごく優しいので男性からもすごく信頼されている

「なーんだ要かぁ」

「なーんだってどういうことだよ!部長だと思ったのか?」

可動式のイスをこちらにすべらせてきて悠希のとなりにきた

「うんまあね、ちょっとびびった」

もうすでにパソコンはデスクトップの画面まできていた

「そうかそうか、んでさ日曜だろ?」

日曜という言葉を聞いた瞬間悠希はびくっとした

要には日曜の事を話していたのだ

実は要とは大学の頃からの友人で、同期でこの会社に入社したのだ

同じチームになったのは3ヶ月前

突然新しいチームが結成されたのだ

部長の話によると有能な人材だけを集めたチームらしい

まあそういわれたことは嬉しかったのだが、前いたチームはとても気にっていたので少し寂しかった

しかし今ではこのチームが気に入っている

人とはずいぶんいい加減なものだと悠希はおもった

「他の人に言ってないよな?!」

「おいおい言うわけないだろ」

要は少し軽いところがある

入社して1ヶ月ぐらいたったぐらいのときに要は悠希が付き合っている彼女がいるとばらされたことがあった

噂は開発部全体に広まり今では付き合っていることを知らないものは開発部ではいない

そんなことがあったので少しだけ要の事が心配だった

「だよな、まあお前を信じてるよ」

そういうと悠希はパソコンを操作し始めた

「うん信じろ、ま、頑張れよ」

要は自分の机に戻っていった

それを確認すると悠希は画面にむかって仕事をし始めた



3

仕事が一段落し悠希は社内にある食堂にいた

周りはみんな同僚などと食事をしているのだが、悠希は一人だ

いつもは悠希も同僚と共にするのだが今日はなぜか落ち着かない

やはり日曜日のことが頭から離れないのだ

「おーい悠希、何で一人なんだよ?」

悠希の目の前には同僚の吉田 謙太が立っている

謙太とは高校からの友人で今もとても仲がいい

謙太には彼女の事は話してはいるのだがプロポーズの事までは話していない

なぜなら謙太とは部署が違うので合う機会が少ない

「おー謙太・・・」

「なんだよ元気ないな?・・・もしかしてー彼女さんとなんかあったのかぁ?」

謙太は笑顔がとてもチャーミングだ

今もすごい笑顔で覗き込んでくる

悠希は謙太には隠していられないと思いあの事を話すことにした

「実はさ・・・日曜日プロポーズする予定なんだよね・・・」

悠希は謙太の様子を伺った

謙太は状況を理解しきれていないようで固まっている

「おい!けんたー」

「・・・あ、ああごめん」

本当に驚いているようでまだ少し唖然ぎみだ

悠希はとりあえず座れと手でジェスチャーし謙太を座らせた

大丈夫かと謙太の顔を心配そうに見つめた

「そんなにビックリした?」

「・・・そ、そりゃビックリするわ!なんでそんな大事な事話してくれんかったのよ??」

正直なところを言うと話すのを忘れていたのだ

話そう話そうとしていたが色々準備が大変で話すことを忘れていた

「ごめん・・・忘れてたんだ」

「忘れてたぁ?ばっきゃろーおれは親友だろぉ」

謙太は真剣に訴えてくる

確かに親友といえる中だ

なぜ忘れてしまったのだろうか

悠希は自分でも不思議だった

おそらく美香のことで精一杯で他のことを考える余裕がなかったのだろう

悠希は何度もうなずいて親友だよ、と謙太に言い聞かした

「まあわかればいいよ」

少し上機嫌になったようだ、謙太はきまぐれさんで不機嫌な時はほんとに接しづらいところがある

そこをうまくコントロールするのは8年間付き合ってきた悠希でも至難の技である

「あのさ明日下見に行こうと思ってんだけど・・・付き添ってくんない??」

これぐらいのことをしないとほんとの上機嫌にはならないだろうと判断し悠希は下見に謙太を誘った

もちろん謙太はすんなりOKした

でも悠希としてもなんとなく一人で行くのは心細かったので都合が良い

明日の11時に駅前に集合という事になった



4

もう少しで仕事が終わる

そんな時だった・・・

「立石さん!ちょっといいですか?」

帰り支度をし始めたところに同じ開発部の女の子が話しかけてきた

悠希はこの時点でなにかを感じていた

「うんどうした?」

「今日の7時から会議はいりましたんで伝えときます」

・・・やはり予感は的中した

こういうことは決して珍しい事ではないのだがなにも今日じゃなくても・・・

そう頭の中でぶつぶつと繰り返した


会議室

「えー全員集まりましたね、では開発部の会議を行います」

まず部長から一言あり、そこから新製品の提案に移る

今回の提案は自分のチームではない

しかし全チーム参加が定例なので参加拒否はできない

さらに各チームの意見を交換する場面もあるのだ

悠希はめんどくさいと思いながらもしぶしぶ会議に参加した


2時間が経過した

ようやく話がまとまってきたのだが最後に各チームの意見を述べなければならない

「それでは各チームの意見を述べてもらいます、まず1班から・・・」

開発部には10チーム存在していて、悠希は2班だ


そしてようやく意見交換が終わり会議が終了となった

あー疲れたぁと心の中でつぶやきさっさと帰ろうとコートを着、会議室を出た

「おーい立石!飲みに行かないのか?」

誘ってきたのは要だった

今日はどうしても帰りたかった

明日のこともあるしこんな日に飲んではいられない

悠希は申しわけなさそうに断り、会社をあとにした



5

いつもの家路につき悠希は今日のご飯をどうするか考え出した

ここんところはずっとコンビニの弁当だったのであまり栄養バランスが良くない

今日こそは何か作ろうと決意したところで家に着いてしまった

かばんから鍵を取り出し鍵をいれる

その時なにか違うと感じた

「開いてる・・・」

なぜだろうか?

そう思い今日の朝の事を思い出した

「たしかあわてて飛び出してきて・・・あ、鍵閉め忘れたんだ」

解決したのは良かったのだが、だれか忍び込んでいたらどうしよう?

そんな不安がよぎった

そーっと悠希はドアをあけた

・・・明かりがついている

その瞬間突然目の前に人が現れた

ご、強盗?!

「うわっ!」

「なにやってんのー?どうしたのよ」

聞き覚えがある声だ・・・

そうだこれは・・・

「美香・・・」

心底ほっとしたような声を出した

本気で強盗だと思ったので悠希の心臓はバクバクだ

「なによぉそんなに私が珍しい?」

エプロン姿の美香は手を差し伸べてくれた

悠希はその手をつかみ起き上がった

いい匂いがする

何か作ってくれているようだ

「ごめんごめんちょっと驚いただけだよ、で今日は何作ってくれたの?」

悠希が台所をのぞこうとすると美香が手で目を覆い隠した

「だめーまだ秘密♪悠希はそこ座ってて」

そういわれるままにテーブルについた

あたりを見回すと散らかっていた洗濯物がしっかりと整頓されている

「美香、いつもありがとう」

おもわず口にしてしまった

しかしその言葉がよほどうれしかったのか美香はかなり喜んでいる

美香はほんとにはじめて付き合うのか?というくらい男性のことをわかっている

正直言ってかなりかわいいし、思いやりもある

こんないい女性と付き合っているというだけで悠希はとてもうれしかった

そんな子に今度の日曜日プロポーズしようとしている

こわくてたまらないが一世一代の大勝負、悠希は大丈夫だと自分に言い聞かせた

「はーいできたよー」

美香は次々にテーブルに料理の乗ったお皿を運んでくる

なにかのコース料理かとおもわせる品数だ

「すごっこれ全部作ったのか??」

「うん久しぶりだったから張り切って作ってみましたぁ」

とてもうれしそうだ

美香は料理もどても上手だ

どの料理を見てもシェフが作ったかのような見栄えである

「それじゃいただきまーす」


ふたりは満足する程度食べいつしか世間話に没頭していた

「そういえばねぇ亜美が彼氏と別れたんだってー・・・って聞いてる?」

悠希はすでにうたた寝状態になっていた

気づけばもうすでに時計は12時を回っていた

「う、うん聞いてるよ」

「ほんとー?なんか眠そうだから寝たほうがいいんじゃない?私片付けてから帰るね」

美香はいつも悠希にやさしい

当然のことなのかもしれないが、その優しさに悠希はいつも感謝している

と同時にそれは好きという感情になった最大のポイントでもあった

ほんとうにこんないい子にOKなどもらえるのだろうか?

よりいっそう不安を感じ悠希はお皿を洗っている美香を見つめる

その視線に気づいたのか美香がこちらに気づいた

「どうしたのぉ?」

美香のことを考えてました

そんなこといえるわけない

「いや・・・なんでもないよ、それより日曜日あけてくれたよね?」

「うん大丈夫だよ!ほらぁちゃんと布団かぶって寝なさい♪」

そういって美香は悠希に布団をかけてくれた

「おやすみ」

そういったあとに悠希は心の中で大丈夫・・・そうもう一度言い聞かした


この小説はフィクションであり、現実性はありません

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