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訳あり元傭兵のVRMMO  作者: 大佐
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プロローグ

 第一話の投稿です。

 楽しんでいただければ幸いです。 


 また誤字・脱字の報告がありましたので修正しました。


 響き渡る轟音と突発音、周囲の怒号や悲鳴を聞いた男は夢だとすぐに理解した。なぜなら忘れる訳にはいかない大切で重要な記憶だからだ。そう思った時、男を呼ぶ声が聞こえ振り返ると一人の男とその向こうにある飛行機で手を振っている男達がいた。すぐさま向かおうと走り出したその瞬間、飛行機が大爆発を起こし男は爆風に吹き飛ばされ、視界が暗くなった。


 男が目を覚ますと白い天井と照明が見えた。体を起こし、すぐそばのカーテンに歩み寄って開いた窓の外を日光でまぶしく感じながらも目を向けると多くの住宅街や高層ビルが建ち並ぶ都市が見えた。しかし、すぐに体を反転させて部屋を出ると洗面台のある所に行って顔を洗い、服を着て朝食を作り始める。


 朝食を済ませた男が食器を洗いながらテレビを見ていると天気予報が終わり、ニュースが始まった。


 <サービス開始より一周年を記念して、大規模な新規ユーザー登録の予約が発表されて二週間が経ちましたが、現時点で予約が満員となったことから予約数の増加が決定されたと発表されました。予約数が初期登録者数の二倍になったことから【小倉こぐらVR社】は調整を急ぎ進めているもようです。また・・・>


 そんな内容を男が聞いていると玄関のチャイムが鳴ったので、すぐに手を拭きと玄関に向かう。


 「アロ~ハ~、寅尾。元気にしてい、ガハッ!!」


 扉を開いたら、そんなことを言ってくるチャラい男に真っ直ぐな右ストレートをお見舞いした寅尾と呼ばれた男は呆れた様子で痛みで顔をおさえる男を見る。


 「何が、アロ~ハ~だ。ここは日本だぞ。酔っぱらってのかバカ野郎。」


 「いって~な!! この野郎、ただのジョークじゃないか。殴る必要がどこにある!」


 そう言って、しゃがんだまま睨んでくるチャラい男。


 「ムカつくからだ。前はそんなバカまる出しの人間じゃなかったのに、まったく。」


 「誰がバカまる出しだ! 今を満喫しているだけでそこらの若い奴らと一緒にするな! って誰が老けてるだコラ!! 俺はピッチピチの28の現役だぞ!」


 「誰もそこまで言っていない。ていうか俺と3つちがうだけ三十路いっぽ手前だろがお前は・・。それよりも商談に来たんじゃないのか。チャーフィー。」


 そう言うとチャーフィーと呼ばれた男は、ハッとした表情で立ち上がった。


 「そうだった! まったくお前が右ストレートなんてかますから、目的を忘れていたじゃないか。」


 「お前がボケなければ、普通に応対していたよ。」


 「うるせぇ! ユーモアが分からん奴め。・・まぁいいか、入れてくれ。」


 二人は部屋へ入り、チャーフィーはテーブルに行き、寅尾はお茶をいれてテーブルに置き、隣の部屋に行きトランクを持ってきてテーブルに置くと開いて中身を見せる。


 「ほら、今回の依頼品だ。依頼どうりに加工はしてあるから確認してくれ。」


 「おう。・・・・やっぱりお前に任せるのが一番だな。文句なしにいい出来だ。そんじゃ、これが依頼料で後日におまけを送るよ。」


 「いいのか? 依頼料だけでも十分なんだが、お前は大丈夫なのか。」


 「ああ、お前が加工したものは軒並み高値で売れるからな。逆にこっちが心苦しくてやってられないんだよ。それに感謝の念もある追加料金なんだから気にすんな。」


そう言ってお茶を飲み始めるチャーフィーに寅尾は「ありがとな」と言い、受け取ったトランクの中身を確認して隣の部屋に置きに行った。すると壁ごしでチャーフィーが声をかける。


 「そういやぁ~、お前はこの後なにか用事はあるのか。もしよかったら食事にいこうぜ。」


 「そうだな、特になにもな<ピピピッ!ピピピッ!・・>」


 ケータイの着信音がなり、会話を中断して寅尾は手に取る。


 <やっほー、兄さん。今日の午後はあいてる?よかったら会って話たいことがあるから、行きつけのカフェで待ってます。あっ!場所わかるよね。忘れたのなら、ネットで【フクロウの巣】でしらべてね(・v<)追伸、返信はいらないからね。かわいい愛しの妹たちより。>


 寅尾がメールを読んでいると、脇からチャーフィーが覗き込んできた。


 「お~お、愛されてなぁ~寅尾くんは。よっ! 愛しのお兄様っ!」


 そんなことを言ってくるチャーフィーに寅尾は無言で・・・。


 「痛いっ!痛いっ!痛いっ!痛いっ! わかったからっ! 悪かったからっ! 無言でコブラツイストをするなっ!! マジでっ!許してくださいっ! お願いでございますっ!!」


 そう、チャーフィーが言うと寅尾は解放して、光のない目で見下ろした。


 「今度言ったら、腕を折る!」


 頭をコクッ!コクッ!と勢いよく振るチャーフィー。


 「しかし、チャーフィーお前の体ぁ前より衰えているんじゃないか。」


 寅尾がそう話を変えながらテーブルに戻ると、チャーフィーはそそくさとテーブルに同じく戻り、座り直して向かいにいる寅尾と顔をあわせる。


 「そりゃそうだ。もう約一年になるからなぁ~、お前も俺も傭兵をやめて。訓練してなきゃ、今の体が普通なんだよ。」


 「そうだな。もう一年も経つだよなぁ。あれから・・。」


 そう言って、寅尾は顔を下に向ける。


 「なんだぁ~、まだ吹っ切れないのか。前も言ったが傭兵の業界じゃ当たり前のことなんだから、あいつらの顔と名前さえ忘れてないならそれで良いんだよ。」


 「まぁ、吹っ切れたとは言えないが今朝、あの時の・・空港でのことを夢に見たんだ。それでな・・。」


 「そうか~、まぁお前があいつらを忘れてないって証拠でもあるわけなんだから、気にすんな。」


 そう、チャーフィーは寅尾を励ました。


 「そういやぁ、もうすぐ時間だろ。準備しなくていいのか? 妹さんたちとの約束。」


 そう言いながらチャーフィーは腕輪型デバイスの立体式モニターを見て言った。


 「時間も指定されていないうえ、約束というわけでもないんだけどなぁ。」


 「バカ野郎! 女の方から会いたいと言ってきた時点で、男は命に代えても果たさなきゃならないだよ。男は生まれたその瞬間から女という鎖にがんじがらめに囚われているんだよ。」


 「身内なんだが・・。」


 「知るかぁ!!! あんな美女や美少女たちとお近づきになるだけでも、嫉妬で腹わたが煮えくり返るようだってのに! 身内にとどまらず、異母兄妹で結婚できる可能性があるという、うらやまけしからん状態とはこれいかに。まさかっ!手ぇだしていないだろうなっ!!」


 「出してない。出してない。・・再会してからは色々あって疎遠になりがちだったからな。」


 「ならば良しっ!! おっと、もうこんな時間だ予定があるのでこれで失礼。」


 「帰るのは構わんが、予定はなかったじゃないのか?」


 荷物を持って玄関へと向かうチャーフィーにそう言うと。


 「ないが、お前に予定が入ったからこれから友達集めて遊んでくる。」


 寂しさや嫉妬といった感情が混ざり合ったなんとも言えない顔でチャーフィーは出て行った。


 「・・よしっ! 俺も行くか。」


 そう決めて寅尾が立つと、玄関のチャイムが鳴ったのでモニターを見ると。


 「追加料金は必ず送るからなっ!」


 とチャーフィーが映っていて、すぐに行ってしまった。


 「わざわざ、それを言うために戻ってきたのか。」


 と言いながら寅尾は首をかしげつつ、着替えるために隣の部屋に移った。



 ・・・・・12時59分 某所・・・・・


 道路の脇にある駐車場にバイクが止まり、長身でそれなりに鍛えた体の男がヘルメットを外しながら降りてくる。


 「・・ここだな。あれ以来、久しぶりになるな。」


 降りてきた寅尾は、そう呟きながら店の看板を見て扉を開く。そこで話があると呼んで待つ兄妹たちと会うために。 

 


 

 

 


 楽しんでいただけましたか?


 他にも誤字・脱字があれば気兼ねなくお知らせください。

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