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7【おまけ】《4の国》のちょっとした小話

近衛姉弟様と第2席に似た人たちの話(笑)。ちょっとした小話でセルフパロディでも転生でも、どちらでも好きな方に解釈して下さいませ。短いですよ。

近くて遠い4つの世界のお話


世界の始まりはスープ皿に満たされた粘度のある命の水

天から落ちた滴りが水面を押し出し、それは王冠へ、王冠から神へと変化し

波紋は大地となった


波紋から成った大地は、大きな大きな輪の形をしていて

それを四柱の王冠の女神達が、それぞれ守護している


これはそんな世界の《4の国》の話





欲と機械の国、科学が発達した国

仕組みを理解できずとも使える”力”に溺れるかもしれない、危うい国


内海に接する国のある都市のある私立高等学校。


ここには有名なお姫様と騎士様の姉弟がいた。ふわふわとした長い髪をゆるく編み、朗らかに微笑む姉姫と淡く微笑む背の高い弟騎士。もちろん《4の国》には姫も騎士もいない、かれらは思いっきり学生だ。しかし立ち振る舞いがノーブルな為、そう呼ばれている。


皆が憧れる姉弟。


ある日弟騎士が恋をした、お相手は校内お嫁さんにしたいナンバーワンの女子高生。


「結婚を前提にお付き合いしましょう」

「あの……そんなお世辞を言わなくても、クッキーぐらい差し上げますよ?」


現在、家庭料理部の活動中。粗熱を取った出来立てのクッキーを口に入れてもらいながら、モグモグとプロポーズする弟騎士。そっと紅茶を淹れ差し出す女子高生、弟騎士は紅茶を差し出す手ごと自らの手でつかみ離さない。


「とても美味しいです」

「あの、危ないので普通にお茶を受け取ってくれるとありがたいのですが……」

「もう1枚、いただけますか?」


しっかり手を掴まれた状態でそう言われても……、とひたすら困惑する女子高生だった。




甘ったるい口説き文句と、姉姫様の援護を得て騎士様は可愛らしいお嫁さんを得た。


「ま、まだ嫁とは決まっていません!!」

「私が逃がすとでも思っているのですか?」

「ふふ、愛し方が足りないのではなくて?不甲斐無い弟ですが、末永くよろしくお願いいたしますわ」




いつのまにか事実上の恋人となっていたお嫁ちゃんと弟騎士。仲良く手を繋いで学校帰り、姉姫様とばったり出くわした。


「まぁ、順調の様ね」

「えぇ、先日キスまで交わしまして……舌まで入れ」

「ぎゃ~~~!!なんで言うのですか、言っちゃうのですかぁ!!」


ガッツリ掴まれた手を振りほどいて逃げようとしても、決してはずれない状態。お嫁ちゃんはバタバタ暴れていたが、逃げられないと分かり、疲れ果ててそのままの状態でもじもじする。その様子を微笑ましく見つめる騎士様。溺愛中である。


姉姫様も微笑ましくその様子を見つめていた時、遠くの方からランドセルを背負った少年が、ものすごい勢いで駆け寄ってきた。思わず親の仇かと思ってしまったお嫁ちゃん。少年は満面の笑みで叫ぶ。


「お~い、僕のきさき!!」

「ふふ、誰が妃ですか。私は弱い男は嫌いですわ、一般市民」


走り寄ってきたランドセルの少年を、ポ~イと投げ飛ばし姉姫様は笑う。ちなみに姉姫様も一般市民である、念の為。ごろごろと転がる少年に見向きもせずに姫スマイルで、「それじゃあね」と歩き去る。立ち上がった少年はめげずにまたもや姉姫様に突進していくが、またもやポ~イと投げ飛ばされる。


その様子を虐待ではないかと思うお嫁ちゃんに弟騎士は苦笑い。あれ位なら日常茶飯事で、派手に投げ飛ばされているようで、ちゃんと加減をしているとのこと。


「あのこ家の道場の門下生で、姉さん大好き少年として有名なんだけど……。まぁ、姉さんが相手にする訳もなく、『私の屍を越えていけ』とか言ってごまかしている状況なんだ」

「屍じゃ駄目じゃないですか……、死んでますよ」

「そもそも姉さんを越えられるのは何時になる事やら……、私でも歯が立たないのに」

「マジですか」

「マジです」


そんな風に軽くあしらわれる少年。何年も何年もアタックしまくって、ついに!!





「少年、私……」

「ようやく俺の妃になる気になったのか!!」

「ふふ、勝てていないのに何を言っていますの?私、結婚することになりましたの。時間切れです、残念!!」


前世とは違うのよという謎の言葉を残して、ハネムーンへと出かけて行った姉姫様。


「男の純情、踏みにじっていきましたねぇ……お義姉さん。なんて罪作りなひと」

「まぁ、あれが姉さんですから。通常運転ですよ」



元少年はがっくりと崩れ落ち、男泣き。背も伸びて精悍な顔立ちで女子に人気のある青年に育ったわりには、姉姫様関係では残念感あふれる、愉快な青年となってしまったのだ。


「姉さんの事は諦めて、次の恋を探しなさい。ちなみに私の奥さんはあげませんからね」

「不倫狙う気はね~よ……、狙うのならば俺の妃を」

「やめなさい」


不埒な事を呟く青年は弟騎士に、手加減無しに遙か彼方へ投げ飛ばされたのだった。不倫、ダメ、絶対!!

現代日本っぽい国のノーブル姉弟、でも一般市民でした。もう1本おまけがあるのですが、お笑い(?)で終了したい方は、ここまでで止めた方が良いと思われます。次は、いわゆる胸糞展開というやつなので……。


読んでくださって、ありがとうございました。

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