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23話

学園の正門には 非難に成功した生徒や教師でいっぱいだった。

見回しても……藤田の兄妹と悠君……校長が見当たらない


「クソ……」

無意識に舌打ちをした。


秋山は燃え盛る学園に向かって走った。

後方からは「なにしてる!!?」 「バカなことを考えるな!!!!」との声。


その言葉は 中にいる奴は仕方ない と言っているようなモノだ。

そんなの冗談じゃない。 秋山はずっと頭でリピートしていた。


「藤田!!!! 聞こえるか!!? 悠君!!」

裏返る程に大声を出したが、返事がこない。


藤田のことだ、まだ中にいる奴らを助けようとしてるはず。

死んだなんて……あり得ない


もう学園は黒い煙で充満していた。 いくら魔力があったって無敵なわけじゃない。

この煙を吸っていれば……いずれかは死んでしまう


「藤田!!!!!!」


無我夢中に叫んだ先には……


「秋山先生!!!!」

……いた。


「藤田!! 悠くんも!!!! 他の子達は……!!」


「大丈夫。 みんなそこから脱出したから」

今にも息がきれそうな大河が言った。


「……おやおや?」

藤田の後方から聞こえた声は、僕にはもう絶望でしかないようだ


「何かと思えば……いつもの厄介者ですか~……?」

炎の間をしなやかに 歩き出したのは、どう見ても校長だ


「やっぱりお前か」

人には滅多に見せない秋山の鋭い目。 だが、それには動じないというのがまだ10歳時の少年だ


「いろいろ嗅ぎ回っていたようですね、秋山先生……」

このような残酷なことをした後でも 変わらないコイツの表情にはイライラさせられる


「この爆発……先週のもお前か」

「先週? ああ……、君たちの無謀な戦いごっこのか。 アレは見てるのが辛かったからですよ……」


なにを言っても心情に動きがない。 しかもここもかなり危険な状態だな

ほとんどは煙で見えない。 見えるといえば、赤く燃える炎のみ


悠くんだって耐えられるはずがない…… 脱出……するか……?


頭の中が整理されていない時に限って……高温の影響で勢いよく窓ガラスが割れた。

それも何個も


「いっ!!!!!!!!」

思い切り突き刺さった破片は、秋山の二の腕だった。

だが 幸い、刺さったのは秋山のみ。 悠に降りかかったのをかばったためだ。


「せっ……先生……!!」

何個も刺さった秋山の腕を見て叫んだ。

少しの沈黙

「大人ぶるなよ、クズが」


今までの会話になかった低い声が 学園中に響いた。

その瞬間に周りの炎が一気に消え去る。


「っっっ!!!!!!!!?」

必死になって声を抑えた秋山。 腹部の方に激痛が走る。


「ここも終わりだね~……、ぜーんぶあの子のせいなんだから」


どこにでもいるような少年の明るい声。 だが聞こえるたびに 腹部に突き刺さる何かが幅広く動く。


「もう少しでここもまた爆発しますよ。 だけど君たちだけ……助けてあげましょう」

そこからはもう、何が起きたか分からない。




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