22話
……助けて?
「助けて?」
どこであっても強気な彼女がこの僕に助けを求めるなんて。
よっぽどのことがあったに違いない
「兄さんが……アイツに連れてかれてしまったんだ……」
彼女は 僕のズボンの裾をつかんだ
「あの子供が…… 兄を連れていったんだ…… 」
あの子供…… 校長か
「その人…… 何か言ってた?」
「龍雅のこと……話してた……」
はーい。 ビンゴ
「まずは君の傷治療しないと。 多分アレだろうから……普通に治療道具持ってくるよ」
彼女が今から校舎に入るのは危険だろう。 校長がどう動くか
まずは兄さんがどこにいったのか……
「いてっ!! もっと丁寧にやりなさいよね!!」
うん。 やっぱり性格には変化がないようだ。
「我慢しなさ~い。 棗君との戦闘よりは屁でもないでしょ」
かなり深いな…… 原因は最後の爆発か?
「棗君のこと話してたんでしょ? 内容覚えてる?」
「覚えてるハズないじゃないの!! なんたって爆発受けた後なんだから!!」
そんな声が出せるなら もう問題ないじゃないか、小娘……
「……なんかさっきから違和感かんじんのよね~……」
先程とは比べものにならないくらいのハッキリとした声で 夏香は言った。
「違和感?」
その……瞬間だった。
「秋山……伏せて!!!!」
思い切り頭を地面に押し付けられた秋山。 その時同時に鼻を打ったためすぐに起き上がってしまった。
目の前には……
「学園に……爆発……!!?」
勢いよく燃え盛る炎は学園中に広がった。
「校長……だ」
目をめいいっぱい開いて夏香は言った
「こんなこと……起きてはいけないのに!!!!」
「あ、ちょっと!!!!」
夏香を置いていった秋山の顔には、もう絶望しか残っていなかった……。