14話
夜23時12分。
まきは眠れないらしく、ベランダへ風にあたりに行った。
ガタガタッ!!
なんだ?
不吉な物音。鳴った場所へ恐る恐る行くと、何だか見覚えのある姿。
だが見たことのない後ろ姿。気配、魔力は100%棗。
話しかけようか、それとも見て見ぬ振りをするか。
もし知らない人物だったら、恥ずかしさゆえ倒れてしまいそう。
だが…あれはそうにしか見えない。
あ「棗…?」
勇気を振り絞り話しかける。
棗「…裏?何でここにいんだよ」
いつもの無愛想な棗だ。けど、外見が別人と言っていい程の変わり様。
ついさっきの昼間には 髪が肩まであったのが、昔のようにショートカット。
白い髪に黒メッシュが、汚れの無い青色になっている。
首にはダイヤ型のネックレスが垂れ下がり、金色のピアスが2個程増えていた。
服装は不清潔な布ではなく、襟が立つ白シャツに ゆるみのある黒ズボン。
あ「その姿 どうしたの!!?」
棗「お前こそ口調どうした?」
同時に言ったため聞き取れない。
棗「仕方ねぇなぁ… 」
呆れ顔を見せるが話してくれるらしい。
棗「一気に言うからな。髪はセガレに勝手に切られて、色は魔力制御のためだとよ。他の小物は全部制御アイテム。服装は普通に変えただけ」
あ「そっ…そうゆうこと…」
一気ではあったが、とても簡潔に答えてくれた。
けれどやはり彼は笑顔を見せない。
違和感がとてもあるが、読心術じゃ読み取れない程の闇に染まっている。
棗「どうした?」
優しく気にかけてくれるその姿
あ「何でもないよ」
私はこれ以上いうことなどない。
ビュウウッ…
肌寒い風が吹いて来た。そろそろ秋が来るのか?
棗「肌寒いな…、オイ裏、もう結構な時間だぞ。良い子は早く寝るんだな」
…いつも私を子供扱いに…
あ「子供扱いしないでよ!アンタも寝る時間。早く部屋に戻りなサーい」
挑発でもしているかの様な口振り。
ぽすっ
頭に手が乗っかった。
棗「…バーカ」
いちいち態度を変えるこいつが本当に分からない。
あ「……うるさい……(////)」
ボスッ!!
あ「うっわ…柔かっ…」
痛みを覚悟してベッドに飛び込んだハズなのに、これはもうかなりの予想ハズレ。
不自然なくらい柔らかいのだ。
あ「……(////)」
…バーカ
この声がまだ頭に潜んでいる。
何でいきなりこうなってしまったのだろう
あ「……これから毎日この痛みに耐えないといけないのか…?」
…の瞬間
キュルルルル…
目の前に何かのポータルが現れた。
だがかなり小さい。ここに来るのが精一杯な子供らしい。
?「ぎゃっ!!!!?」
あ「…ぇ」
人間の子供…何かじゃなかった。
それはもうどう見ても… ウーパールーパー…
あ「何でウーパールーパーが…?」
?「ウーパールーパーだって!!? 失礼な!!僕はれっきとした神様だもん!!」
…裏の存在はみんながそうなんだよ。
?「君がイザベラ様の娘? 何ともたくましくないお体…」
口調が変わっただけでけなしてんじゃないか。
?「僕は“メロッタ”って言うんだ。みんなは僕を《メロちゃん》って呼ぶけどね」
あ「私が君の名を口にする時が来たらよんでやるよ。ウパーってな」
ウパー「もう、好きにして下さいよ!!」
ウパーは水色のウーパールーパーのよう。
目は 赤、手足から生える爪は黄色。
頭からは小さな羽が顔を出している。
ウパー「 まきちゃん、頂点にはカワイイお供がつくんだよ。こんな風にまだ子供だけど 君の成長によって僕が進化していくんだよ。最終的には 頼りになる竜になるんだから!!」
あ「何?これからずっと私の隣にいると?」
ウパー「もちろん」
…こりゃ……疲れるぞ…