12話
あ「ここでいいよ。ありがとう」
午後の1時24分。
犬井「平気か?赤い扉はもっと先だぞ?」
心配した口ぶりで彼は言った。
あ「大丈夫だよ。行く前にセガレが来てとか言ってたから…行くだけ!!すぐそこでしょ?なんかごめんね。おごらせちゃって」
犬井「それは別にいいよ?まきがどうしてもって言うなら、小遣い貰えた時に俺にオムライス おごってくれ☆」
優しそうな目でまきを見つめる。まきはまた…真っ赤
犬井「じゃあね、また今度」
あ「うん。ありがとう!!」
また熱い…
けれど…何か…違うの。
トントン…
セガレ「まきちゃんかぁ。いいよ、入って~」
ガチャ
今日何回目だ、ここの扉を開けたのは。
あ「話があるって言ってたよね?何か?」
セガレ「コピーかぁ…面白い人材だなぁ…」
人材だって?
セガレは顎に手を当て、何かを真剣に考えている様子。短時間ではあったが、沈黙に耐えようとするまきはグラグラしていた。
セガレ「…あとで考えるか…よし、んじゃ言っちゃおーと。君、表に知り合いは?」
長時間の沈黙が流れた。
何故セガレが知っているんだ?表に知り合いは?なんて言われたら…私が完全に表では無いということになる。
まきはセガレを見たまま 目を大きく開けた。表情で伝えるかの様に
「なんでそんなこと…」
…と言っているかのように。
セガレ「…気づいたって言うか…ついさっき教えてもらったよ。1年前の学園担任に。」
1年前… 秋山…?
セガレ「涼介と藤田の兄妹がここに来るんだ。理由があってここに来ることになったらしい。」
あ「…私が裏だとここにいられないの…?」
誰が来るなんて関係ない。私がいられないのなら、紗奈にだって会えないじゃないか。
セガレ「…そんなことはない。けど君は 一般の人達と違うところに行ってもらうことになるよ」
他の…ところ?




