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実験台の女騎 ――赤い夢の復讐――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第2章 再会か出会いか ――エリア:テトラル――
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第6話 ……足、大丈夫?

[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]

[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]


 私はあらゆる種類の魔法弾を飛ばしてバトル=アルファの軍団を潰していく。アリナスNo.251(私のクローン)はアサルトライフルで銃撃を加える。

 バトル=アルファは簡単に倒すことが出来る。数分もしない内に50体近くいたバトル=アルファは倒れていく。


「グォォォッ!」


 雄叫びを上げながら、バトル=アルファの後ろから人間型の怪物が現れる。黒いコートに黒いサングラス、黒いヘルメットをした大男。その身長は3メートル近くもある。生物兵器ハンター=アルファだ。


「ウ、ウソ!? なにアレ!?」

「クッ……!」


 私は前方に現れた1体のハンター=アルファに向かって走る。1体だけなら、今の私には楽に倒せる! 消えろ!


「…………ッ!?」


 私は慌ててその場で止まる。ハンター=アルファの後ろから更に2体のハンター=アルファが現れた! 合計で3体だ。最悪だっ! 私がその昔、アイツに苦戦したことぐらい知ってるだろ!


「な、No.1! 後ろからも!」


 ツヴェルクの悲鳴にも似た声が聞こえてきた。私は後ろを振り返る。そこにも1体のハンター=アルファがいた。合計で4体も!

 私は素早く一番近いハンター=アルファに飛びかかろうとする。コイツらを瞬殺して、後ろのヤツも何とかしないと……! だが、ジャンプした瞬間、足の裏に鋭い痛みが走った。ガラスの破片が……!


「グォォォ――!」


 バランスを崩した。それだけでなく、ハンター=アルファに隙を与えてしまった。ハンター=アルファは私の脚を掴むと、そのままコンクリートに地面に叩き落す。激痛が背中に広がる。激しく咳き込む。

 私は背中と足の痛みに、涙目になりながらも距離を取る。距離を取ると、刺さったガラス片を抜き取る。大きく鋭いガラス片には赤い血が付いていた。


「クッ……!」


 足の痛みの方が大きい。かなり深く刺さったらしい。それでも、早くコイツらを倒さないとアリナスたちが危ない……!

 私は強力な電気の槍を飛ばす。それは走って来ていたハンター=アルファの胸を貫く。ハンター=アルファの巨体が私に向かって倒れる。私は素早く横に飛んで避ける。


「うわぁッ!」

「なんでコイツ、死なないんだ!?」

「ウソでしょ!? こんなに撃ってるのに!」


 アリナス達の悲鳴が上がる。タフなのが売りのハンター=アルファは簡単には死なない。それでも無敵というワケじゃないのだが。

 私は残りのハンター=アルファに向けて両手から電撃を繰り出す。黄色の閃光が2体のハンター=アルファを包み込む。低い雄叫びが上がる。苦痛に満ちた雄叫び。このまま死ね!

 2体のハンター=アルファを電撃で弾き飛ばす。2体とも、近くの建物の壁を突き破って吹っ飛ぶ。それを見た私はアリナス達の方へ向かうとした。

 だが、倒れていたハンター=アルファが私の足首を握る。そのせいで私はその場に倒れ、顔面をコンクリートの地面に強くぶつける。


「グォォ――!」

「は、離せ、バカ!」


 鼻血を噴きながら、私は叫ぶように言う。もちろん、言うことを聞くハズもないのだが。私は足首に握られたまま、電気の槍を飛ばす。飛ぶ方向はアリナスたちのすぐ側にまで近寄って来ていたハンター=アルファの方。

 電気の槍が彼の胸を正確に貫く。電気の槍を受けたハンター=アルファはその場に膝を着いて倒れ込む。


「グォォォ――!」


 私の足首を掴んでいたハンター=アルファが拳を繰り出す。私の頬を狙っていた。私は素早く物理シールドを張る。それとほぼ同時に彼の拳が私を殴った。普通に男性に殴られたかのような痛み。物理シールドがなかったら首の骨が折れていたかも知れない。


「クッ……!」


 私はハンター=アルファに手をかざす。……なかなか斬れないッ! バトル=アルファや人間だったら簡単なのに! それでも、力を限界まで強める。ハンター=アルファの悲鳴のような雄叫び。私は目を強く閉じて、力を込める。それと共に、ハンター=アルファの首は斬れ飛ぶ。その途端、私の足首を掴んでいた手に力がなくなる。


「はぁ、はぁッ……!」


 私は眩暈を感じながらも再び立ち上がる。アリナス達の方にいたハンター=アルファもすでに立ち上がっていた。アレだけじゃ死なないよな!

 アリナスが立ち上がったハンター=アルファの足下に緑色の小さな物を投げる。No.251は足止めのようにアサルトライフルで射撃を続ける。

 爆音。アリナスの投げたハンドボムが爆発した。地面が僅かに揺れる。トドメに私は煙の中で膝を着くハンター=アルファに雷を何発も落とす。何度も激しい電撃音が鳴り響く。


「し、死んだよね!?」

「たぶん、これだけ攻撃すれば生きてはないですよ!」


 アリナス達が私の元に走って来る。さすがに死んだだろうな。ハンター=アルファも無敵の生物兵器じゃない。私は息を荒げながら、その場に座り込む。


「……足、大丈夫?」


 私のクローンであるNo.251が心配そうな表情で言う。ガラスの刺さった足からは血が出ていた。刺さるって結構痛いな。私は自分自身の足に回復魔法をかけていく。


「大体、なんでこんな所をコート一枚だけで歩いているんだ?」


 知るか。私は素っ裸にして閉じ込めた連合軍の科学者たちに聞いてくれ。捕まった時に無理やり脱がされたんだ。

 私はゆっくりと立ち上がる。早くしないとまた追手が来る。どうせ、アチコチに監視カメラがあるハズだからすぐに現在位置もバレるだろう。


「あそこに店があったからそこで服を調達したらどうだ?」


 アリナスが少し離れた所にある建物を指差す。時間がないが、それがいいかも知れないな。私は無言で頷くとその建物に向かった。さすがに“本物の外”に出た時に、コートの下が裸だったらマズイだろう……。

◆ハンター=アルファ・F型

 ◇実験体No.1(フィルド)のクローンを素体とした生物兵器。

 ◇昔はP型というのもあったけど、今はもう作っていない。

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