第10話 攻撃セヨ! 破壊セヨ!
【パスリュー本部 エリア5 第3実験施設】
エレベーターは最後の実験施設へと通じる扉を開ける。鋼鉄の扉はゆっくりと開いていく。扉が開き出すと同時に私は全員に物理シールドをかけ、エレベーターを飛び出す!
何が待ち受けているのか、なんとなく感じ取れていた。無数の敵がいる。私を捕える為に用意された軍団!
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
エレベーターが開くなり、20体近くのバトル=アルファが銃撃してくる。私は彼らに一気に接近すると、魔法で1機残らず一瞬で吹き飛ばす。
だが、彼らの後ろにもバトル=アルファは無数にいた。バトル=アルファの隊列はコンクリートで出来た広い廊下の遥か後ろまで続いていた。
「捕えろ!」
「逃がすな!」
大量の銃弾が飛んでくる。バトル=アルファ部隊の後ろには黒衣を着た連合軍の兵士たち。一斉に銃撃し、私の体を貫こうとする。
私は彼らに向かって手をかざす。彼らの体が斬り裂かれ、血が舞う。黒色のアサルトライフルが灰色をしたコンクリートの床に落ちる。
「ぐぁ!」
「ぐぉっ!」
「ぐぇぇっ!」
私は超能力で彼らを斬り倒しながら、無数の火炎弾と衝撃弾を飛ばす。爆音が連続して鳴り響き、炎が上がる。悲鳴と怒号が巻き起こり、辺りは騒然とする。
突然、私の体が殴り倒される。黒い服を着た巨体の人間。ハンター=アルファ! 黒衣の怪物は私に向かって突進して来る。
「グォォォ――!」
私は素早く後ろに向かって大きく飛ぶ。空中で一回転しながら、冷凍光線を飛ばす。氷色をした一筋の光が飛ぶ。それはハンター=アルファの胸に刺さると、その身体を一瞬で凍らせる。
私は着地と共に黒色の破壊弾を飛ばす。紫の尾を帯びながら破壊弾はバトル=アルファや兵士たちの間を通り、凍らせたハンター=アルファを粉々にする。
「No.1!」
アリナスの声。私はチラリとそっちの方を見る。アリナスがバトル=アルファの大軍に囲まれていた。私は素早く無数の衝撃弾を飛ばす。白い衝撃弾は重い破裂音と共にバトル=アルファを次々と弾き飛ばす。
私の体が押し倒される。またハンター=アルファだ! 怪物は手で私の頭を掴み、無理やり床に押し倒したのだ。
「どけっ!」
私は衝撃弾を飛ばす。爆発。ハンター=アルファの巨体は宙に打ち上がる。間髪入れずに近くに倒れていた兵士のアサルトソードを奪うと、ジャンプしてハンター=アルファの首をハネる。鮮血が飛び散る。
着地する直前に風魔法を飛ばす。ハンター=アルファの巨体はアリナスたちに向かって銃撃するバトル=アルファ軍団の方に飛び、彼らを押し壊す。
「どうも!」
奪ったアサルトライフルで銃撃しながらアルナスは言う。その声を耳にしながら、私は彼女の後ろにいる鎧を纏ったバトル=パラディンに向けて火炎弾を飛ばす。
爆音と共にバトル=パラディンの体は赤い炎に包まれ、アリナスが吹き飛ばされる。私は空中に飛ばされたアリナスの体を超能力で引き寄せる。
「うわぁッ」
[攻撃セヨ!]
「邪魔だ!」
近寄ってきた傘状の体に4本の砲身を持つ、6本脚をしたバトル=ガンマを超能力でなるべく敵が多いところに吹き飛ばす。バトル=ガンマが倒れる。火炎弾を撃つ。大きな爆発。多くの敵兵が吹き飛ぶ。
バトル=ガンマの体の内部にはグレネードランチャーの炸裂弾が詰め込まれている。炎で攻撃すれば、当然の事ながら全弾が爆発し、周囲の物は何も残らない。
「セイレーンとツヴェルクはどうした?」
「分からない。途中まで一緒だったけど……!」
[破壊セヨ!]
「グォォォ――!」
あまり喋ってるヒマはなさそうだ。私は冷凍弾を飛ばす。またハンター=アルファだ。このエリアにはどれだけのハンター=アルファが……。
凍ったハンター=アルファに向けて破壊弾を飛ばすと、私はアリナスの手を引いて、先に進む。群がる敵兵に衝撃弾と電撃弾を浴びせていく。
「ぐあぁっ!」
「うぁッ!」
「ぐぇぇッ!」
…………。敵兵がみんなこっちに来る。セイレーンとツヴェルクはどこへ……? まさか、もうやられたのか!?
私はイヤな予感を感じながらも、次々と押し寄せてくる敵兵を倒していく。魔力を溜め、大型の衝撃弾を飛ばす。轟音。地響き。周りにいた敵兵やハンター=アルファが吹き飛ぶ。私自身も吹き飛ばされそうになる。
「今だ!」
私は怯む敵兵の間を一気に駆け抜ける。飛びかかってくるのは素早く超能力で斬り倒す。何度も物理シールドと魔法シールドを張り直し、攻撃を防ぐ
アリナスも走っている間、何度も射撃する。連続した銃撃音。やってくる敵兵を撃ち抜いていく。
「ク、クソッ!」
[破壊セヨ!]
「ダメだ! 前線、突破される!」
私は軍勢を突破する。だが、少し離れた所にまた軍勢! 私たちを追いかけてくる後方の軍勢に向けて巨大衝撃弾を飛ばす。地響き。それと共に私は前方にいるハンター=アルファに向けて冷凍弾を飛ばす。全部で4体。けっこうな数だ。
ハンター=アルファが凍り付く。凍り付くと同時に巨大衝撃弾を3つ一気に飛ばす。エリアが崩れかねないような凄まじい轟音。あまりに激しい地響きに私たちも倒れる。
「うわっ!」
「クッ……!」
私とアリナスは素早く立ち上ると、吹き飛ばされた敵兵が雨のごとく降ってくる中を走り抜ける。バトル=アルファやバトル=ベータなどの軍用兵器は全て壊れていた。人間の兵士も多くが死んでいた。
私はまだ襲い掛かってくる敵兵だけを相手にしながら、全速力で走り抜ける。途中、ハンター=アルファが襲ってくる。彼らには冷凍弾と破壊弾の二段階攻撃を浴びせ、倒していく。
「最初からそれで倒せばよかったのに!」
「エレベーター乗ってる間に思いついたんだ!」
私に射撃する兵士の体が斬り裂かれる。血が舞う。走ってくる人間型軍用兵器バトル=メシェディの頭が撃ち抜かれる。
あと少し、あと少しでエリア:オーロラを突破できそうだ。出入り口である最後のゲートが遠くに見えていた。あと少しで……!