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プロローグ
私は服も着ずに、裸のまま歩き出す。
私の通った場所に、赤い足跡が冷たい鋼の床につく。
私の後ろには真っ赤な液体が広がっていた。
そのほぼ中心に、肉の塊が転がっている。
真っ赤な色をした生暖かい液体は、その肉塊から流れ出ていた。
そう、あの肉塊は元は人間だったものだ。
今はもうバラバラにされ、見る影もない。
バラバラにしたのは、――私だ。
私はこの部屋の唯一の出入り口に向かって足を進める。
これから、この部屋で起きたことが、あらゆる場所で起きるだろう。
でも、それは仕方のないことだ。
文句は、私をこの研究所に閉じ込めた者たちに言ってほしい。
私はたくさんの肉塊と鮮血を背に、扉を開けた。
さぁ、この施設から脱出しようか――。