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活動1日目その④

空へレッツラゴー!


てことでどぞどぞ。

 7


 現在8時50分。

 うぅ……。緊張してきた。

 宏一先輩の説明など様々なことした後、おれたちは出発するためソリに乗っている。

「うんじゃ、もう出発してもええな」

「あぁ」

 操縦席に座っている新ノ介先輩がその隣に座っている宏一先輩に確認をする。

 ちなみに宏一先輩の後ろに座っているのがおれで新ノ介先輩の後ろに座っているのが菊太郎先輩だ。

 4人とも空気で乾燥しないようにとかなんとか……まぁ、何かの防止のためにゴーグルをつけている。

「じゃあ、出発3秒前」

 え、何で乾燥とかそんなのを防止しないといけないのかって?

「2」

 そりゃぁ。

「1」

 もちろん。

「空へ出発や!」

 空に行くらしいからです。

 先輩の言葉とほぼ同時に周りの室内の物が高音をたてながら消えていく、いや消えていっいるのはおれらの方なんだけど。

 このソリには瞬間移動装置をいうものがついているらしく、行き先を入力するだけでどこへでも瞬間的に行くことができるらしい。

 なにせ瞬間的に移動するので、移動中、一体どんなことが起こったのか、などソリに乗っているおれですらわかるわけがなく、気がつけばおれの周りは空になっていた。

 こんな空を飛んでるところとか誰かに見られたりしたらどうするつもりだと思うかもしれないけど他の人たちには見えない特殊なコーティングがされているそうだ。

「わぁ……!」

 下を見るとおれらが住んでいる街があった。

 街には小さな光がたくさんともっており、とても自分が住んでいる街だとは思えないぐらいに綺麗だった。

 子供みたいな表現をするなら本物の宝石みたいだ。

 あ、言い忘れてたけどこのソリはもちろん空を飛ぶソリで落ちるという心配はない。

 一体、どういう構造になっているのやらだが、新ノ介先輩いわく「考えたら負け」らしいので何も考えないことにした。

「タロウ」

 街の景色に感動しているおれを宏一先輩が呼ぶ。

「なんすか」

「上、見てみろ」

 ?

 おれは宏一先輩に言われた通り上を見る。

「おぉー!」

 おれはあまりの絶景に目を見開く。

 そこにはとても大きな月があった。

 そっか、今日は満月だったんだ。

 街から見ればいつもと変わらない、ただの月だったんだろうけど、今はいつもとは違う。

 高いところから見ているのでその分月も大きく見える。

 宇宙にあるってわかってても、手を伸ばせばつかむことができるんじゃないかとさえ思える。

 こんなに街や月を綺麗だと思ったのは生まれて初めてのことだった。

「さぁ、そろそろ始めるかい?」

 そう言って菊太郎先輩がソリの後ろから大きなバズーカのようなものを出す。

 そしてそれを受け取った宏一先輩が空に向けてなんのちゅうちょもなくあっさりと撃つ。

 特に大きな音も衝撃もないので見た目的にはおもちゃの鉄砲を撃った時とそんなに違いはない。

「これで1段階目は終わりだな」

 宏一先輩が空を見上げていう。

「じゃあ次行こか」

 そう言って新ノ介先輩がソリを動かす。

 奇跡が起こる時間まであと6分30秒。


 8

「タロウ、あとはお前の仕事次第だからな」

 宏一先輩おれにわざとプレッシャーをかけるような言い方をする。

「わ、わかってるっすよ」

「まぁまぁ、そんなに気をはることないさ、いつも通りにホイって投げて成功してくれれば構わないんだから」

「お前もプレッシャーかけとるやないか」

 新ノ介先輩が菊太郎先輩につっこむ。

「あの……ほんとにこれ、おれがやっていいんすか……?」

 おれがそう尋ねると宏一先輩が大きくうなずいた。

「この中で一番成功率が高いのはお前だからな」

 宏一先輩の言葉に今度は新ノ介先輩と菊太郎先輩がうなずく。

 ……。

「さぁ、そろそろ時間だ」

「タロウ、何回も言うたけどこれはチャンス一回きりや。この作戦の成功不成功はそれにかかっとる」

「……」

「今回のMVPは君にゆずるよ」

「……」

「タロウ、いけるな?」

「――はいっす」

 おれは先輩たちに大きくうなずいてみせた。

 ソリから下を見下ろす。

 大広場には目標の200人いるかいないかはわからないけどたくさんの人がいる。

 おれは手に握りしめているボールをギュッと握り直した。

 サイズは野球ボールより少し大きい。

 チャンスは一回。

 狙うは真ん中ストライク。

 大胆に、でも慎重に。

 心臓の音が大きくなる。

 心臓が一回ドクンと鳴るたびに大きく体が揺れている気がする。

 深呼吸をし、狙いを定める。

 ――大丈夫、いける。

 おれは少しだけ振りかぶってボールをツリーのてっぺんに投げた。

 ボールは落下しているわけだからおれの力関係なくスピーディーに落ちていく。

 そしてボールが狙い通りツリーのてっぺんにふれた瞬間――。

「……っ!」


 おれはその目で奇跡を見た。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想、評価等をいただけると幸いです。

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