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活動1日目その①

いよいよ2CFが動き出します!(といってもまだ序盤なんですがww)

はんなりまったりしていってください(*´∀`*)

 1


 12月24日。

 え~と、ここらへんだったよな……。

 おれ、タロウは先日わけのわからない「2CF」というサークルに入ることになった。

 そして今日はおれにとっての初めての活動となるわけなのだが……。

 はっきり言おう。

 場所がわからない。

 おれは学校の終業式を終えた後、家へ帰り服を着替えて昼飯を食し、成績表を親に見られる前に家を出た。

 宏一先輩たちとの集合場所はサークルの活動場所、部活風に言うなら部室。つまりこの前おれが連れて行かれたあの地下の小綺麗な部屋のことなのだが(3人はあの部屋のことをアジトと言っているらしい)、入口がさっぱり見つからない。

 一回、入口には連れて行ってもらったのだがそんな何日も前のことおれが覚えてるはずがない。

 う~ん、困ったなぁ。

 おれが悩みに悩んでうなった。

 まさに万事休す。

「あれ、タロウやん。こんなとこでどないしたんや?」

「わぁああ!?」

 おれはいきなり話かけられたもんだからビックリしてつい大声を出す。

「し、新ノ介先輩!?」

 おれに話しかけてきたのは2CFのメンバー、新ノ介先輩だった。

「な、なんやねん。いきなり大声出して、びっくりしたわぁ」

 すみません。

「その~、完全にどこかわかんなくなっちゃって……」

 おれがそう言うと新ノ介先輩は苦笑して「こっちや」と歩き出した。

「先輩はどうしてこんなところにいるんすか?」

 おれは新ノ介先輩に質問する。

 新ノ介先輩は学校からまだ家に帰っていないのか、学ランで頭にゴーグルもつけていない。

 なんだかこの前とすごく印象が違う。

「ん? あぁ、わいはあいつらとちごうて家に帰らんと直接アジトの方へ行くんや」

「え、そうなんすか?」

「わいの場合、アジトの方が家より学校に近いからな、サークルがあるんやったら直接こっちに行くほうが楽なんや」

「え、じゃあ今日はずっと学ランでいるんすか?」

 学ラン、というか制服全般的にそうだと思うけど制服っていうのは結構動きにくい。

 もちろん走り回ったりすることはできるが汚したときが大変だから、みんな気を使ってあんまり動けなくなってしまう。

 今日は一体どんなことをするのか知らないけど、宏一先輩が考えることだ。きっとハードなものに違いない。

 なんせおれをサークルに勧誘するためだけに誘拐じみたことだってやってのける人なんだから。

「いやいや、大丈夫やって、わいはアジトから家に帰るさかい」

 え?

「アジトからって、どういうことっすか?」

 おれがそう言うと新ノ介先輩がにやりと笑う。

「前言うたやろ?わいはドラ●もんの道具やったらなんでも作れるって」

「あぁー!」

 そっか、どこでもドア!

「あそこってどこでもドアがあるんすか!?」

「あるで、まぁ『どこでも』言うわけやないけど」

「え、違うんすか?」

「別にわいが用あんのはわいの家だけやから今アジトにあるドアからはわいの家にしか行けへんようにしとんねん」

「へぇー、でもすごいっすね!」

「そうかぁ? わいはそんあにすごいとは思わへんねんけど……」

 いやいや、ものすごいっす。

「そんなんやったらわいは菊太郎の方がすごいと思うなぁ。あのアジト、菊太郎が自腹で作っとんねん」

 じ、自腹ぁ!?

「え、てことは菊太郎先輩があの部屋を自分のおこずかいで作ったってことっすか!?」

 おれがそういうと新ノ介先輩は小声で「おこずかい……」と少し笑うのをこらえたようにつぶやいた。

「まぁ、そういうことになるわな。ていうかタロウはあのアジトをまだ少ししか見てへんやろ」

「はい」

「これから多分ほぼ毎日通うことになるやろうから暇なときに探索してみればええけどあそこ、全部で20部屋ぐらいあんねんで」

 えぇ!?

「まずこの間わいたちが自己紹介したとこがリビング、それから下に下にてアリの巣みたいにつながっとんねん」

 ふ、ふへー……。

 さすが超が100はついてもおかしくはない坊っちゃん。

 やることが違う。

「でもそんなになんの部屋を作ったんすか」

「さぁ? わいもまだ全部は見きれてないからなぁ。とりあえず個人の部屋や何かをする作業場、プールにテニスコートは覚えとうわ」

「地下にプールって作れるもんなんすね」

「建設系は専門外やからようわからんけど、できてんから出来るんやろう」

「あと、2CFの活動費をだしてんのも菊太郎やなぁ」

 まだ使ってたんすか!?

「菊太郎先輩、どんだけ金持ってんすか……」

「まぁ、そのおかげでわいも思う存分物が作れんねんけどな」

 おれと新ノ介先輩の口から乾いた笑いが出る。

 世の中不平等にも程がある……。

「そういや、タロウは隣街にすんどうわりにはくんのん早いなぁ。家に帰ってから即こっちに来たんか?」

「あぁ、はい。といってもおれ、隣町は隣町でもここから近いんすよ。学区がギリギリ違うかったっていうか」

「へぇ~そうなんや」

「新ノ介先輩ってもともとは大阪にいたんすかよね」

「そうやで、でも中学に入る前にこっちに引っ越してきた」

「親の仕事とかでですか?」

「うんにゃ、親は今どっちも大阪におる。こっちに来たのはわいだけや」

「え! ってことは新ノ介先輩、もしかして一人暮らしなんすか!?」

「まぁ、そういうことになるわな」

 どひゃー!

 おれは新たに知った真実に耳を疑う。

「でもなんでまた一人暮らしを?」

「さぁ? なんか知らんけどどっかの会社やらなんやらが東京にはよ出てこい言うもんやからめんどくさなって出てきたんや。多分わいが働けるような歳になったから自分たちの会社で働かせようとか考えてるんちゃうか?」

 新ノ介先輩がまるで他人事のように言う。

 でも、それってすごいことだけど、大変そうだな……。

「先輩……。大丈夫なんすか?」

 おれはなぜかすごく心配になる。

 だってまだ先輩は中学生で、自由だってあるはずなのに先輩を見てると先輩が大人たちに無理やり箱か何かに押し込められているように見えた。

 おれの心配が新ノ介先輩に伝わったのか、先輩は明るく笑って言ってみせた。

「心配ないって、もしどっかの会社に無理やり働かされるようになって、めんどくさかったら逃亡でもなんでもしたるわ。あいつらから逃げ切るなんてわいの発明品があったら楽勝やからな」

 おれはその言葉に頷く。

 確かに、先輩程の人なら余裕でどこへでも逃げられるだろう。

「おっ、ここや」

 そう言って先輩は建物と建物の間で立ち止まった。

 あぁ、そうだ。

 確かに前教えてもらったとき「えぇ、こんなところに!?」って言った記憶がうっすらとある。

 うん、ここまで来たらもう、思い出せたぞ。

 2列では歩けないので新ノ介先輩が前へ行く。

 そしてちょうどマンホールの前で立ち止まり、地面にしゃがみこんだ。

 え? どこか調子が悪くなったのかって? 

 違う、違う。ドアを開けているだけだ。

 アジトは地下にある。

 だからドアも地面にあるというのが宏一先輩たちの言い分。

 けどおれはよくわからない。

 まぁ、どうでもいいことだとは思うんだけど。

 開け方は簡単だ。

 地面に手のひらを付けばいい。

 実はドアというのはこのマンホールのことで、その手前、右、左、奥の四箇所に指紋センサーがある。

 この指紋センサーは新ノ介先輩が作ったものでパッと見、全然センサーがどこにあるのかわからない。

 完全にアスファルトに化けてしまっている。

 ちなみにこのセンサーは象が乗っても壊れないらしい。

 人なら全然問題がない。

「おい、タロウ行くで」

 新ノ介先輩がマンホールを開けて言う。

 もう、マンホールがドアだって言ってるから説明はいらないかもしれないがこのマンホールは偽物だ。

 もちろん下水道には繋がっていない。

 普段は鍵がかかっているから取り外しはできないけど指紋センサーをして解除したあとなら簡単に開くことができる。

 ちなみに何で出来ているのかは教えてもらえなかった。


 2


 下に降りるとそこは少し長い廊下になっている。

 あぁ、そうだ。周りの様子も説明しておこう。

 「地下」という言葉からどうも薄暗くて汚い感じをイメージしがちだけどここは明るいし、きれいだ。

 床にはリビングと同じ灰色のカーペットがひかれているし、壁もきれいに白をぬられている。

 しかも天井にはLEDライトときたもんだから驚いてしまう。

 そしてその廊下の突き当りにはまたドア。

 しかも今度は自動ドアである。

 ここを開けばこの間おれたちが話したリビングへと到着する。

 え、おれが宏一先輩に誘拐されたときに連れて行かれてた部屋?

 あれは物置部屋(一応エレベーター付き)らしい。

 まったくもって必要性がわからない。

 ウィン。

 新ノ介先輩がドアを開く。

「じゃあタロウはここであいつらが来るまでのんびりしとき、わいも家に戻ってくるから」

「あ、はい。わかったっす」

 おれがそう返事すると新ノ介先輩は奥の部屋へと行った。

 ふぅ~。

 おれは部屋の真ん中に置かれてあるソファにどかりと座る。

 なんだかんだで無理やりわけのわからないサークルに入らされたけどやっぱりこのサークルの活動目的がよくわからない。

 悪い人、例えば不良はヤクザの集まりではないことは確かだけど一体何をするつもりなんだろう?

 ……。

 わかんないな。

 おれはふとそう思った。

 わからないことはわからない。

 わからないことは仕方がないから考えない。

 そうだ。とりあえず適当に付き合ってればいいじゃないか。

 適当にあの人たちと一緒にいればいいんだ。

 どうせ冬休みの間だけだし。

 たったの2週間ぐらいの付き合いじゃないか。

 おれがそう思っているとドアが開く。

「あれ、もうタロウ来てたのか」

 そこには宏一先輩と菊太郎先輩の姿。

「はい、新ノ介先輩ときたんすよ」

「あぁー、だからかここにいるんだな。タロウは初日、絶対道分かんなくなるな。って話してたんだ」

 どういうことですか!

 まぁ、その通りだから文句は言えないけど。

「で、新ノ介は今家に帰ってるのかい?」

 菊太郎先輩がおれに聞いてくる。

「えぇ、少し前に。すごいっすよね、新ノ介先輩、どこでもドア作っちゃうなんて」

「新ノ介だからな」

「新ノ介だからね」

 宏一先輩と菊太郎先輩が当たり前のように言う。

 まぁ、キャラの濃い2人らしい反応だけど。

「そんなことよりタロウ。お前ん家門限とかあるか?」

 宏一先輩が突拍子もないことを聞いてくる。

「え~と、とりあえず親に『遅くなる』って連絡してたら多分10時ぐらいまでOKっす」

「10時か……。どう思う?」

「う~ん……。まぁ大丈夫なんじゃないかな? いざとなればぼくが出ればいいんだし」

 宏一先輩と菊太郎先輩が何かを相談する。

「何の話っすか?」

「タロウ、とりあえず親御さんに『遅くなる』って連絡しろ」

「は、はぁ……?」

 おれは何がなんだかよくわからないまま返事をしてソファから立ち上がる。

「あぁ、それから――」

「え?」

「お前、高所恐怖症じゃないだろうな?」

「いや、多分大丈夫っすけど……」

 おれがそう言うと宏一先輩は怪しくニヤリと笑った。

 意味がわからないんですけど……。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!!

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