活動4日目その③
お久しぶりです
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「あぁ~、楽しかった」
おれはホテルのフカフカベットに大の字になって寝転ぶ。
時刻はもう夜の9時。
海で一日中遊んでクタクタどころかまだちょっと遊び足りないぐらいだ。
明日の予定はなんだっけ? 確か――。
トゥルルル
突然部屋中に電話の音が響く。
うわっ、なんだなんだ?
おれは慌てて受話器を取ると相手は宏一先輩だった。
『明日のことで軽いミーティングするからお前もおれの部屋まで来いよ。ドアは開けてあるから勝手に入っていいぞ』
そう言って先輩は一方的に話して一方的に電話を切ってしまった。
まったく間違い電話だったらどうするつもりなんだろう。
おれは部屋の鍵をズボンのポケットの中に入れ部屋の外に出る。
おれの部屋番号は704、宏一の部屋番号は……なんだっけ。
おれの部屋が一番奥の突き当たりにあるのでとりあえずおれは番号が若い方へと進む。
すると702号室のドアだけ間にスリッパをはさんで扉が完全に閉まらないようにされていた。
ここか……。
おれがドアを押して開くといきなり目の前に何かが飛んできた。
「ぶっ」
おれは避けることもできずに顔面でそれを受け止める。
フカフカだけど投げつけられたんだ、それなりに痛い。
それがおれの顔からぼとりと落ちると奥から先輩たちの笑い声が聞こえる。
宏一先輩だけでなく新ノ介先輩も菊太郎先輩までいる。
下を見るとおれにぶつかってきたのは枕だった。
投げつけてきたのは誰なのか、言わずもがな。
「~~っ」
おれは歯を食いしばりながら足元の枕を拾い上げる。
この人たちは先輩だ。
どんなに子供っぽくてもおれより年上だし年上には礼儀正しくしろっておじいちゃんに言っていた。
いや、もう礼儀正しくはないかな。うん。
まぁいいや、もういろいろ考えるのはやめよう。この人たちを先輩と思うのはやめよう。
だって――。
「何歳児だお前らぁぁぁあああ!!」
腹立つんですもん☆
こうなったら知らん。もう知らん。
まずおれは枕を一番自分の近くの机にしゃがんでいた菊太郎に投げつける。
菊太郎は手で受ける止めることができずおれと同じように顔面で受け止めてバランスを崩す。
おまけに机に頭をぶつけたらしい、手で後頭部を抑えてる。
おれはそんなことにお構いなくこの戦場で唯一の武器である枕を菊太郎の顔面の上から拾い上げさらに奥にいる二人にじわじわと警戒しながら近づく。
「反抗するつもりだぞ! 新ノ介!!」
「よっしゃ、任せとけ!」
そう言って観葉植物のそばにいた新ノ介が隠し持っていた枕をおれに投げつけてきた。
司令塔は菊太郎かと思ったけどどうやら一番奥のベットのところにいる宏一がそうだったようだ。
でも油断していなければこいつらの弾なんてどうってことない。
おれはそれを手でキャッチし新ノ介に投げ返す。
新ノ介は前におれに投げられたことがあるからだろうか、威力があることもわかっているらしくさっさと避けてしまった。
「どんだけ強ぉても当たらんかったら意味n――」
ドヤ顔で何かを言ってる新ノ介に容赦なくもう一つあった枕をぶつける。
戦場での油断は命取りだんだよ。
おれは両手に枕を持ち宏一の方を見る。
確か部屋にあった枕の数は2つ。
つまりこの部屋にある枕は今全ておれの手の中にあるということになる。
「覚悟はいいですか、セ・ン・パ・イ?」
おれはにっこりと微笑んで宏一に尋ねる。
「クッ、お前の戦闘力がここまでとはな……」
宏一が一歩あとに下がる。
バカだなぁ、もう後はないのに。
「ケンカをふっかけてきたのはセンパイの方ですからね。恨まないでくださいよ?」
「ふん、おれはそこまで廃れちゃいねぇよ」
宏一の頬に一筋の汗が流れ落ちる。
しばらくおれと宏一はじっと見つめ合った。
そしてついに観念したようにふっと笑ってみせた。
「おれたちの負けだ。殺れよ、タロウ」
その言葉におれは微笑み枕を持ち上げる。
「では、センパイ。さよう――」
「なーんてな?」
にひっと笑う宏一の顔に動きを止めた瞬間後ろから声がした。
『ダブルアターック!!』
同時に枕を後ろからぶつけられた。
なっ……!?
「宏一軍曹、敵軍を捕獲したで!」
新ノ介がおれを羽交い締めにする。
「うむ、ナイスだ新ノ介兵長!」
「なんで!? 枕は2個だけのはずじゃ――」
「チッチッチッ」
動揺を隠せないおれに菊太郎が人差し指を振る。
「武器は必ずしも戦場にあるものだけとは限らないのさ」
「つまりわいと菊太郎が自分の部屋から元々枕を持ってきとったってことやな」
「……ずるくないっすか?」
「おや、口調が戻ったね」
「タロウ、戦場ではやったもん勝ちやねんで……」
なんで悟り開いたみたいな言い方なんすか。
「さて、タロウ」
宏一先輩がこっちに近づく。
「ケンカでお前が負けたんだからなんかやってもらわなきゃな」
「えっ、そんなの聞いてないっすよ!」
「戦争なんだから当たり前やろ?」
そう言う先輩たちの顔が妙にニヤニヤしていて嫌な感じしかしない。
しかも今おれは新ノ介先輩に捕まってるから逃げることもできない。
「そ、そう言えばこれミーティングするために集まったんすよね!? ならとっととそれやっちゃって――」
「でもなぁ、別に今これといってやってほしいこととかないんだよなぁ」
「というか運動系以外ならタロウにできることならぼくたちにでもできそうだしね」
失礼な!
「てーわけでー……こしょばしの系だ!! おらテメーらやっちまえ!!」
『イエッサー』
「え、え、ちょ、まっ、ギャァァーーーー!!!!」
数十分後。
己、奴らめ絶対に許さん。
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