第四章「初めて抱く恋心」
今回は新たな代行に取り組みます。どうか青葉の純粋な導きを応援してくださると嬉しいです。
『神様、どうすればいいの……』
青葉の耳に、少し震えて囁くような声が聞こえた。
誰かの祈りを感じたと同時に、
脳裏にふんわりとイメージが伝わってくる。
頭に浮かんだのは、高校三年生の少女。
片思いで悩んでいるようだ。
その表情からは、切なさがにじみ出ていた。
青葉は胸の奥が、きゅっと締めつけられた。
誰かを好きになる。
そんな特別な気持ちの中に、覆い尽くしそうな影を感じた。
少し不安げな青葉は、ゆっくりとシンを見てその表情を伺った。
「……難しい祈りだ」
それだけ言って、シンは視線を窓へと移す。
青葉はその横顔を見つめながら、軽く一つ息を吐いた。
手をぎゅっと優しく握る。
そして、流れてくるイメージに、ひときわ集中した。
それは少しずつ鮮明な映像として見えてきた。
彼女の名前は中原 桜。
芯が強く、どこか人を安心させる優しさを持った少女だった。
気づけば、視線を向けてしまう――そんな佇まいをしている。
夕暮れの教室の窓辺。
グラウンドからは野球部の活気あふれる声、快音を鳴らすバット。
遠くからは吹奏楽部の美しい音色が心地よく響いていた。
夕焼けに少し照らされた彼女の髪がブロンズがかる。
時折吹く風が心地よい夕暮れ時だ。
グラウンドそばの花壇では、汗を流しながら手入れをしている男性がいた。
少女はまっすぐな瞳で見つめている。
年齢は25歳くらいだろうか。
国語の担当をしている臨時講師だ。
雰囲気が柔らかく、若いこともあり、赴任当初から生徒に人気がある。
幾度となく告白をされた経験がある桜だが、人を好きになることなど今までなかった。
いや……好きになるはずがなかったのだ。




