リュシオンは皇子さま。
最近、運動会の練習などで大変疲れてる。
やっとの更新。
ヴェルーナは、リュシオンの面倒を看ることにした。
リュシオンの傷は、十か所。
切られた傷や、撃たれた傷がほとんどだ。
と、一つだけ他の傷とは違い、背中の端から端まで大きく切られた傷があった。
その傷は、治りかけだった。
ヴェルーナは、不思議に思った。
背後を取られるなど、戦に出るものとしての恥。
しかも、傷は治りかけ。
(この背中の傷はどうしたんだ?)
リュシオンに聞いた。
「ああ、その傷か。それは俺の父、ダントン国の王、シュベルツ・ル・アヴェルト=ダントンに切られた傷だ。」
(何故、お前の父はお前を切ったのだ?)
「俺が、戦争に行くと言ったからだよ。「戦争に行くなら、これに耐えろ。」と言って、切りかかってきたんだ。まぁ、なんとか生き延びたが。」
(お前は、王族か?)
「ああ、俺はダントン国第一皇子、リュシオン・ル・アヴェルト=ダントンだ。何時から気が付いていた?俺は、言った覚えはないが。」
(ふん、そんなの簡単だ。お前のその髪だ。)
「髪?」
(お前は知らぬのか?金は、王族の色なのだぞ。勉強不足だな。よく、皇子などやれたものだ。」
「そうだったのか・・・。それなら・・・」
(それなら?)
「それなら、お前は王族になるのか?」
(何を言っている。私の色は、白だ。王族ではない。)
「何を言っているんだ。お前の色は、白金だぞ。決して白ではない。」
(白金だと?私の何処に白金がある。)
「お前の鱗だ。」
(そんなわけないだろう。私は白だ。)
「いいや、白金だ。」
(白だ。)
「白金だ。」
「グギャーーーーーーー!!(白だ!!)」
ヴェルーナの怒声に、リュシオンは肩を震わせた。
その日以来、リュシオンはヴェルーナは白金だと言わなくなった。