彼との出会い
ヴェルーナは、眼を覚ました。
もう、日が昇っている。
昨日のことを考えると、吐き気がした。
まぁ、吐くことはないけれど。
ヴェルーナは起き上がり、湖の方へ歩く。
水浴びをするためだ。
これもまた、ヴェルーナの日課だ。
水浴びの後は、散歩だ。
そのあとに、温かそうな場所を見つけ昼寝をする。
ヴェルーナが、散歩をしていると血の匂いがした。
ヴェルーナは、思わず顔を顰めた。
何故かって?
それは、ヴェルーナの目の前に血まみれの男がいるからだ。
きっと、貴族だろう。
服装が、煌びやかだ。
ヴェルーナは、死んでいると思った。
だが、胸が上下していた。
ここに置いていても邪魔なだけだ。
ヴェルーナは、仕方なく寝床に連れていくことにした。
ヴェルーナは、慎重に運んだ。
途中で起きても、面倒だからだ。
寝床に連れていくと、神がいた。
「何だ、そいつは。」
明らかに、不機嫌だ。
「倒れてた。」
簡単に言う。
「捨ててこい。」
さらに不機嫌になった様だ。
「私の自由だろ。」
「どうなっても知らないぞ。」
そう言い残して、消えた。
ヴェルーナは、起きた時のため木の実を用意した。
寝床の横に丸くなる。
しばらくして、うめき声が聞えてきた。
ヴェルーナは、起き上がった。
寝床の方を見ると、男が体を起こそうとしている。
起き上がるのを、座りながら見守った。
男が、ヴェルーナの方を見ると悲鳴を上げた。
「わぁ!」
男は、後ずさりした。
(案ずるな、お前など取って食ったりしない。)
テレパシーで言う。
「本当か?」
(フンッ。お前など美味しいわけなかろう。用心深い奴め。)
ヴェルーナは、鼻を鳴らした。
(お前、名は?)
「リュシオンだ。リュシオン・ル・アヴェルト=ダントン。お前の名は?」
(ヴェルーナだ。)
これが、彼・・・リュシオンとの出会い。