最後の日
どうも皐月です。
最終話です。
今まで見てくださった方、ありがとうございました。
それではどうぞ。
「ゲホッゲホッ」
と、リシェーネがせき込む。
「大丈夫か?」
リュシオンが心配そうにリシェーネの顔を覗き込む。
「大丈夫よ。」
リシェーネがリュシオンを安心させるために微笑む。
だが、その笑みは引きつってしまった。
「本当か?」
「ほんと…」
リシェーネはバタリと倒れた。
「リシェーネ!」
リュシオンは慌てて駆け寄る。
周りに居たメイドも慌てる。
「医師を呼べ!」
リュシオンがメイドに言う。
リュシオンはリシェーネを抱きあげ、ベッドに運ぶ。
「連れてまいりました。」
一人のメイドが息を切らしながら言う。
その隣には医師がいる。
「早くしろ。」
リュシオンが医師に声をかけた。
医師は慌ててリシェーネを診た。
「んっ。」
リシェーネはゆっくりと目を開けた。
視界に映ったのは、リュシオンの白髪交じりの髪と不安げに揺れる緑の瞳。
リュシオンはリシェーネが目を覚ましたのを見ると、嬉しそうに瞳を輝かした。
「リシェーネ!」
「リュ、シオン。」
「大丈夫か?」
「え、ええ。」
「そうか。」
リュシオンはそう言うと、嬉しそうに笑った。
「うっ。」
リシェーネが苦しみ出したのはその晩。
「リシェーネ!」
「リュシオン様、もう手は尽くしました。残念ながら……。」
リュシオンの瞳が見開かれる。
「リュ、シ、オン。子供、たちを、お願い、ね。」
リシェーネはそう言うと、微笑んだ。
「リシェーネ…。」
リシェーネはゆっくりと目を閉じた。
リュシオンの頬に一筋の涙が流れる。
周りのメイドたちも泣きじゃくっている。
リシェーネ・ル・アヴェルト=ダントン、定年七十六歳。
彼女が死んだあと、国中が泣いた。
~END~