親子喧嘩
どうも皐月です。
後三話ほどで完結いたします。
三話かどうかわからないけど……。
ではどうぞ。
「どういうことだ!」
滅多に怒鳴らないリュシオンが大きな声で怒鳴った。
「何度言えば分かるの?ゾーエ・セオスが私の彼氏。」
ヴィオレーヌが呆れながら言った。
「アイツがお前の彼氏?例え神でも許さん。」
リシェーネは、大きくため息をついた。
「ヴィオ、ゾーエ・セオスは神様よ。分かってる?」
「うん。それを含めて彼が好きなの。」
ヴィオレーヌが幸せそうに息を吐いた。
リュシオンはそれを見て、更に怒った。
「冗談じゃない。もし、ヴィオとあいつが結婚したら、あいつは俺の息子になるじゃないか!」
「問題はそこなのね……。」
リシェーネは更に大きなため息をついた。
「良いじゃないか。」
「そうですよ。」
アルバートとその嫁でロンリ国第一王女、アイネアスがリュシオンをなだめようと言った。
「良くない!」
リュシオンは更に声を張り上げた。
そんなリュシオンに、リシェーネは微笑みながら言った。
「リュシオン、ちょっと黙ってくれる?」
「うっ。」
リシェーネは顔は笑っているが、目は笑っていなかった。
「ヴィオレーヌ、何か言うことは?」
「ご、ごめんなさい。でも、彼を愛してるの!」
「それは分かったわ。でもね、相談してくれてもいいんじゃない?」
リシェーネはそう言い、愁いの表情を見せた。
「ごめんなさい。」
「そんなに謝るならいいわ。許してあげる。ダルドとの事も。」
リシェーネのその言葉に、リュシオンは反論をした。
「いいわけないだろう!」
「リュシオン。」
リシェーネはまた微笑んだ。
「うっ。わ、分かったよ。」
「本当!」
「ええ本当よ。」
リシェーネのその言葉にヴィオレーヌは子供のように喜んだ。
「その代わり、年相応の振る舞いをしてね。ヴィオももう十五なんだから。」
「うん。」
ヴィオレーヌは素直に頷いた。
リシェーネは頬笑み、リュシオンは不満そうな顔をした。
「すっかり父さんも落ちぶれたね。」
親子喧嘩をしている横で、アルバートがアイネアスにそう言った。
「本当ね。」
二人は顔を見合わせ、微笑んだ。