箱庭の外は騒がしい
神竜になってから、一か月。
ここの森の暮らしには、慣れた。
ここの森は、人々は『箱庭』と呼んでいるらしい。
このことは、あの俺様の神が教えてくれた。
名前の由来は、森の周りが大木で囲まれているから。
ヴェルーナは、一度それを確かめるため森の周りを飛んだ。
確かに、大木が森を囲んでいた。
箱庭は、神聖な場所らしい。
入るのも許可が必要で、滅多に人は入ってこない。
それに、不思議な生き物もいる。
例えば、頭と胴体が虎。しかも、頭は二つ。
尻尾は、蛇の変な生き物。
普通の生き物も居るが。
ヴェルーナの日課は、小鳥と一緒に昼寝をすること。
毎日、昼寝をしていた。
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ヴェルーナは、いつものように昼寝をしていた。
薄目を開けて、小鳥たちを観察する。
小鳥が動くたびに、心が癒される。
小鳥が、度々ヴェルーナをつつく。
それもまた、癒される。
と、爆発音が聞えてきた。
小鳥は、驚いて逃げる。
ヴェルーナは、イラついた。
癒しのひと時を、邪魔されたのだ。
まだ爆発音が聞える。
続いて銃声。悲鳴も聞こえてきた。男のものだ。
どうやら、箱庭の外から聞こえるらしい。
ヴェルーナは、木よりも高く空を飛んだ。
箱庭の外を見る。死体が転がっている。
血が森を囲っている大木に付いている。
女、子供は居ない。
男だけ。
戦争をしているのだろう。
気が付いたらヴェルーナの横に、神がいた。
「むごいな」
神が言った。
「ええ」
返事をする。
両方の戦力は互角だ。
どんどん兵士が減っていく。
このままじゃ、全滅するだけ。
意味がない。
ヴェルーナは、戦争が終わるまで見ていた。
結局、引き分け。
ヴェルーナは、また眠りについた。