リュシオンは婚約者
遅くなってごめんなさい。
ではどうぞ。
「シュベルツ、この子がリシェーネだ。」
アルフォンが自慢げに、リシェーネを紹介した。
「リシェーネが……。」
シュベルツと一緒にリシェーネの紹介を聞いていたリュシオンは、愕然とした。
自分が好きになったのはリシェーネだ。
そのリシェーネは、リュシオンの婚約者だったのだ。
「あの、殿下、先ほどのお返事の事ですが…。」
そんなリュシオンにリシェーネは、言った。
リュシオンは慌てて言った。
「その話をこんな所でするな。」
「あら、それなら私たちは退出しましょう。」
ウィリアがそう提案すると、シュベルツとアルフォンの二人は頷きウィリアの後に付いて部屋を後にした。
だが、三人はドアの前で聞き耳を立てていた。
「その、私も好きです。」
ドアの前の三人は、ニヤニヤしている。
そして、自分の子供を祝うため、勢い良く部屋に入った。
「良かったなリュシオン。」
「良くやったわ、リシェーネ。」
リシェーネとリュシオンは顔を真っ赤にした。
「結婚はいつにする?」
シュベルツとアルフォン、ウィリアとメアリアは結婚の話をしていた。
「一週間後でどうかしら?」
メアリアが提案すると、他の三人は賛成した。
「ドレスはどうする?」
「トーレスにまかせましょ。」
「そうね。」
トーレスとは、ダントン国で一番腕のいいお針子だ。
「一週間後が楽しみだな。」
「そうだな。」
アルフォンとシュベルツは、楽しげに話すウィリアとメアリアを見てそう言った。