リュシオンの気持ち
リシェーネは、シュベルツと会ってから一週間後、リュシオンに呼び出された。
書斎の中には、カインは居らずリュシオンとリシェーネだけだ。
「どうかした?」
リシェーネがリュシオンに聞くと、リュシオンは意を決したようにリシェーネを見据えた。
「あのな、」
「うん。」
「お前の事がが好きだ。」
「え?」
リュシオンに問うと、顔を真っ赤にしながらまた言った。
「だから、お前の事が好きだ。愛している。」
そう言われて、リシェーネの胸が高鳴った。
同時に、嬉しさに満たされた。
「私も、」
私も、好き。
そう言おうとしたら、突然目の前が真っ白になった。
そして、昔の記憶が全て思い出す事が出来た。
おめでとう。これであなたは、リシェーネ・ベル・バルミ・アブ・ジロンに戻れるわよ。
と、頭の中に声が響いた。
それは、リシェーネに試練を与えたバイオリーニの優しい声だった。
「リシェーネ?」
リュシオンが問うと、リシェーネは突然倒れた。
「!」
リュシオンは慌ててリシェーネの元に駆け寄り、支えた。
「カイン!」
ドアの外に待機しているカインを、慌てて呼ぶ。
その声色を察して、カインも慌てて入ってきた。
「殿下、どうかなさいましたか。」
「カイン、医者を呼べ!早く!」
「はっ。」
リュシオンが命じると、カインは走って書斎を出て行った。
リュシオンは、リシェーネが息をしているか確かめた。
リシェーネが息をしているのを確認して、安堵の息を吐いた。