結婚の話
どうも皐月です。
遅くなってすみません。
それではどうぞ。
「それで、何の用ですか。」
リュシオンが、シュベルツに睨みを利かせながら問う。
シュベルツが、リシェーネをちらりと見てから言った。
「結婚の話だ。」
シュベルツは、ソファーに座りながら言った。
リュシオンが、リシェーネに目配せをした。
「失礼しました。」
そう言うと、リシェーネは部屋を出て行った。
「俺は結婚なんかしませんよ。」
リュシオンが、シュベルツの向かいのソファーに座りながら言う。
「そんなにあの子がいいのか。」
「なっ」
シュベルツがそう言うと、リュシオンは顔を真っ赤にした。
「図星か。」
顔を真っ赤にしているリュシオンの横で、カインが笑いを堪えている。
シュベルツは、そんな息子の姿を見て微笑んだ。
「彼女を娶るなら、ジロン国の姫と結婚してもらう。」
「わ、分かった。」
リュシオンは、リシェーネの為ならとそれを承諾した。
「あなた、リシェーネが帰ってこないと…。」
「分かっているよ。シュベルツはそろそろリシェーネと合わせてくれと言ってくるころだ。」
「どうするんですか?」
金色の美女が、心配そうに青い瞳を揺らした。
その瞳には、白金の髪の男性が写っている。
「ウィリア、大丈夫だよ。」
白金の髪の男性が、美女に言う。
「だけど、」
「大丈夫だよ。リシェーネは、今月中には戻ってくるよ。」
「ですがもう、七年間も戻ってきていないのよ。」
ウィリアは、美しい顔に一筋の涙を流した。
「大丈夫だよ、ウィリア。いざとなったら、エスクードに女装させるよ。」
「アルフォン。」
ウィリアが、咎めるように言った。
「あの子は男の子よ。それにもう二十歳よ。」
「冗談だよ。」
二人の笑い声が、暗い寝室に響き渡った。