陛下と対面
どうも、皐月です。
今年、最後の更新になるかもしれません。
ではどうぞ。
「はぁ~~~~。」
盛大な溜息が、書斎に響いた。
「どうかした?」
「はぁ~~~~~~~。」
と、リシェーネが聞くと更に大きめため息をついた。
その隣に居るカインが、ニヤニヤしている。
「女嫌いの殿下がね。」
「黙ってろ。」
リュシオンがそう言うと、カインは深刻な顔になった。
リシェーネは、首を傾げた。
「これはライバルだ…。」
と、カインが呟いた。
「それなら俺の勝ちだな。」
それに対してリュシオンが、答える。
リシェーネはますます首を傾げた。
「何の話?」
「それはね、リシェー」
「何でもない。ただの、ゲームの話だ。」
何か言おうとしたカインを、リュシオンがさえぎる。
「リュシオン殿下は、恋をしたんだよ。」
カインが言うと、リュシオンは顔を真っ赤にした。
「なっ。」
「そうなの?お相手は誰?」
「それはね、」
「だから黙ってろ。」
リシェーネとカインの会話を、リュシオンが邪魔をする。
「いいじゃない。誰にも言わないから。」
「駄目だ。」
「あのね、」
「カインは黙ってろ。」
「酷いじゃないか、殿下。」
「ゴホン。」
と、咳ばらいが聞えた。
三人は、一斉に咳ばらいがした方を見る。
その人物を見て、リュシオンは立ちあがって礼をして、カインは膝をついて礼をした。
「おや。」
と、驚きのあまり動けないでいるリシェーネを、その人物はしげしげと見つめた。
そして、リシェーネの顎をつかみ、自分の方を向けて言った。
「儂の側室にならないか。」
「父上。」
と、リュシオンが止めに入る。
「冗談だよ。お前がメイドを雇ったと聞いて、見に来ただけだ。いい女を捕まえたな。さすが儂の息子だ。」
「父上。」
「安心しろ。手は出さないよ。」
男は…ダントン国国王、シュベルツ・ル・アベルト=ダントンはにこりと微笑んだ。
大人の魅力を放つシュベルツに、リシェーネは頬を染めた。
それを見ていたリュシオンは、シュベルツを睨んだ。