リュシオンはカルシウム不足
どうも皐月です。
あれ?最近リュシオンについて書いているような…。
まぁ、いっか。
ではどうぞ。
書斎が、重い空気に包まれている。
カインは、リュシオンに八つ当たりされている執事を気の毒に思った。
「も、申し訳ございません。」
執事は何度も頭を下げている。
執事が誤って落としてしまったティーカップの中の紅茶が、絨毯に染みを作る。
「ただ今、新しい物をお持ちいたします。」
「いや、いい。」
と、リュシオンが冷たく言い放つ。
(完全に八つ当たりじゃないか。自分が悪いのに。)
カインは思わずそう思った。
こうなったのは、五時間前……
「リシェーネ、お茶を入れてくれ。」
リュシオンが言う。
だが、リシェーネはそっぽを向く。
「リシェーネ?お茶を入れてくれ。」
リュシオンが更に言う。
それでもリシェーネは、紅茶を入れようとしない。
「リシェーネ。リュシオン殿下に紅茶を入れてくれないかな?」
「かしこまりました。」
カインが言うと、リシェーネは紅茶を入れるために部屋の外に出た。
「どういうことだ?」
リュシオンが、棘のある声で言う。
そしてカインを睨んだ。
「さぁ。あれのせいじゃない?」
リュシオンは昨日の事を思い出した。
隣でカインが、腹を抱えて笑っている。
「あれは、傑作だね。」
カインが笑いが収まってから言った。
リュシオンはカインを睨んだ。
それはカインが、冷や汗を流して身震いしてしまう程、冷ややかだった。
そして今に至る。
執事が出て行ったドアから、リシェーネが入ってきた。
「ねぇ、さっきの人に何て言ったの?泣いてたわよ?」
リシェーネは、昨日の事も忘れてリュシオンに話しかけてきた。
「なにも。」
リュシオンが不機嫌そうに答える。
「謝ってくれたら許してあげるのに……。」
その声に、リシェーネは思わずつぶやいた。
「本当か?」
リシェーネはそっぽを向く。
「昨日は、すまなかった。」
リュシオンは、素直に謝った。
リシェーネは、満足そうに微笑んだ。
「ふふ。最初から謝っていればいいのに。」
リシェーネがそう言うと、リュシオンの目が、嬉しそうに輝いた。
それを見たカインが思わず吹き出すと、リュシオンはそれを睨んだ