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リュシオン付きのメイド
「これでいいわ。」
メリッサが、リシェーネの頭に水色の帽子をかぶせてくれた。
それは、お団子結びしていた髪にピッタリとはまった。
「あの、白い帽子じゃないんですか?」
他のメイドは、白い帽子だからだ。
リシェーネが問うと、メリッサは笑った。
「リュシオン殿下付きのメイドは水色の帽子をつけるのよ。」
「そうなんですか。」
リシェーネは頷きながら言った。
「今日からあなたは、リュシオン殿下付きのメイドよ。」
一週間、ミッチリとメリッサにメイドになる為の作法などを学んだ。
普通では、一カ月かかるそうだ。
「さ、リュシオン殿下に挨拶に行きなさい。」
メリッサに押されて、メイドの更衣室から出る。
十分ほど歩いたところにあるリュシオンの部屋のドアを叩く。
「入れ。」
と、リュシオンの声が中から聞こえてきた。
ドアを開けると、リュシオンが書類と向き合っていた。
「リシェーネ、教育は終わったのか?」
「はい。これからお世話になります。」
リシェーネはにっこりほほ笑んだ。