神との出会い(2)
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ヴェルーナが鏡を拾います。
やっと、森に着いた。森に着くのに、三日掛かった。
今は、昼だ。暖かい日差しが、木々の間から射しこんでくる。
(まずは、寝床ね。)
寝床に適した場所を探すため、森の中を歩きだす。
飛べるには飛べるが、丸三日飛び続けたから羽を動かしたくない。
ヴェルーナは、木より小さい。ヴェルーナだけではない。
ここら一体の竜は皆そうだ。ヴェルーナは、『古竜』だ。
三日前の、うざい男もそう。
『古竜』は、とても珍しい。普通の竜より小さい。が、さまざまな物に姿を変えられる。
もちろん、人間にもなれる。
しばらく歩くと、大きな湖が出てきた。とても澄んでいる。
湖の淵に沿って歩いていると、近くに窪地を見つけた。ヴェルーナの大きさに、ぴったりだ。
窪地に、草をひきつめる。と、草の中できらりと何か光る。
手を伸ばして拾うと、綺麗な鏡だった。花の模様が、施された美しい鏡。
鏡に見入っていると、鏡が突然光った。
夢の中で、誰かが呼んでいる。
「おいっ」
銀色の髪に、青い瞳。美青年だ。
「お前は、今日から『神竜』だ。」
彼の姿が、ぼやけていく。
目が覚めた。空が赤く染まっている。
このまま寝ようと思った。が、おでこのところが、急に熱くなった。
先ほど拾った鏡を、手に持っていたので鏡を見る。
鏡を見て、目を丸くした。
おでこに、青い物が付いている。取ろうとしても、全く動かない。
その時、さっき見た夢を思い出した。青年は、『神竜』と言っていた。
昔、育ててくれたおばさんが言っていた。
『神竜とは、神に認められた竜の事。誰もが敬う竜よ。その証に、青い珠が体のどこかに付くの。』
と。
(て、ことは・・・私は、神竜?)
そんなことを考えていると、鏡から銀色の丸い物が出てきた。
ふよふよと、浮いている。ひっくりかったと思ったら、一対の青い眼が出てきた。
ヴェルーナよりも、深い青い眼。
ヴェルーナは、眼を細める。
(何これ・・・・・・・・)
生き物?などと考えていると、玉が喋り出した。
「ふんっ、我は神に決まっているだろう。」
(神って・・・)
「神は神だ。」
俺様口調だ。しかも、上から目線。
「お前は、俺の竜だ。」
これが、神との出会い。