仕事は何ですか?
「これが仕事だ。」
リュシオンが、紙を差し出してきた。
そこに書いているのは、メイドの心得が書いている紙だった。
「メイド?」
「そうだ。俺の専属のな。」
一緒に横に座っていたベレーデが目を見開きながら言った。
「何だって!」
「悪いのか?」
リュシオンの威圧的な空気に、ベレーデは口を噤んだ。
「ありがとうございます。何時出発するんですか?」
「明日の夜明けだ。準備しろ。」
「はい。」
リシェーネは微笑みながら言った。
「ベレーデ、今までありがとう。何時か恩返しに来るわ。アイアンにも伝えておいて。」
「リシェーネ…。」
ベレーデは、リシェーネに抱きついた。
「辛くなったらいつでもおいで。リュシオン殿下と、カインには気をつけるんだよ。」
「はい。」
太陽が、徐々に姿を現し始めた。
「行くぞ。」
リュシオンが言うと、馬が走り出した。
リュシオンは、カインとリぜとフィギという騎士だけ連れてきていた。
リシェーネは無理やり、カインの馬にのせられた。
「喋らないでね。舌を噛むかもしれないから。」
カインが微笑みながら言った。町の女の子たちが黄色い声を上げそうだ。
リシェーネはこくりと頷いた。
馬は、物凄いスピードだった。
二つの町を通って、あっと言う間に王都に着いた。
王都の門が開くと、そこには沢山の人で溢れかえっていた。
皆、リュシオンを見つけると頭を下げた。
十分ほど行くと、大きな城が見えてきた。
城の門が開くと、メイドや執事が礼をしていた。
「お帰りなさいませ、リュシオン殿下。」
そのメイドや執事たちが声をそろえて言った。
リュシオンが、その中の一人のメイドに近づいた。
そのメイドは、他のメイドの水色のワンピースとは違う、青いワンピースを着ていた。
そのメイドの近くに行くと、カインが馬から降ろしてくれた。
「メリッサ、このリシェーネの教育を頼んだぞ。」
「かしこまりました。」
メリッサは、頭をまた下げた。
少しして頭をあげると言った。
「リシェーネさん、こちらに来て下さい。」
メリッサについて行くと、メイド用の出入り口があった。
リシェーネは、深く息を吸いこんでドアの中に入った。