リュシオンと対面(1)
どうも皐月です。
今回は、リシェーネとリュシオンが対面します。
ではどうぞ。
「本当かい?」
「や、約束します。」
カインは、今まで床を見つめていたアイアンと同じ緑色の瞳をベレーデに向けた。
「破るんじゃないよ。」
ベレーデはそう言うと、床に正座している息子の髪をなでる。カインの髪は、ベレーデに似た栗色だ。
「ほら立ちな。」
カインをベレーデは立たせた。
そしてリシェーネに言った。
「いいかい、リシェーネ。こいつに必要以上に近づくんじゃないよ。」
「母さん、それは無いじゃないか。」
「お黙り。」
ベレーデの一喝でカインは大人しくなった。
「いいかい、リシェーネ。」
「はい!」
と、リシェーネは元気良く頷いた。
椅子に座り、静かに紅茶を飲んでいたアイアンがクスクスと笑った。
朝食を食べ終わり、部屋で読書をしているとまたドアがノックされた。
このノックの仕方はカインだ。
リシェーネが返事をする間もなく、カインが入ってきた。
「リシェーネちゃーん。」
と、言いながら。
そして抱きついてきた。
「き、気持ち悪い!」
リシェーネはそう言いながらカインを突き飛ばした。
そして胸を隠す。
「ドサクサに紛れて触らないでください。」
「いいじゃないか。」
ニヤニヤしながらカインが言う。
「こっ、こっちに来ないで!」
リシェーネは部屋から飛び出した。
階段を駆け下り、アイアンとベレーデが居るリビングに駆け込んだ。
「ベレーデ、助けて!」
リシェーネは、椅子に座っているベレーデに抱きついた。
「こら!カイン、リュシオン殿下の前だぞ、大人しくしていなさい。」
カインは大人しくなった。
が、リシェーネはそんなことより、リュシオンが居ることに驚いた。
ベレーデの向かいの椅子に、リュシオンが優雅に座っている。
リシェーネは、ベレーデから慌ててはなれた。
「リュシオン殿下、すまないね。この子は、リシェー」
「ヴェルーナ?」
そう言うと、リュシオンが抱きついてきた。
「え?」
慌てて離れようとしたが、力は強まる一方だ。
「リュシオン殿下。私はリシェーネです。ヴェルーナとやらではありません。」
リシェーネから離れると、リュシオンは言った。
「どこからどう見ても、ヴェルーナだ。」
その言葉に、リシェーネも目を見開いた。