二人の夫婦
どうも皐月です。
第二章突入です。
ではどうぞ。
目を開けたら、そこには木製の天井があった。
体の下には、ふわふわとしたものが敷いてありそれと同じものが体の上にもかかっている。とても気持ちがいい。
辺りを見回すと、壁も木製で、瓶がたくさん置かれた棚や花が飾られている棚がある。窓の外には花が綺麗に整えられていた。
部屋の隅の方にあったドアが開いた。
「おや、目が覚めたのかい。」
と、入ってきた人が言った。
茶色の髪にそれと同じ色の瞳の女性だ。だが、決して美人ではない。どちらかというと、頼れるお母さんと言った感じだ。
「御譲ちゃん名前は?」
と、聞かれ戸惑ってしまった。
ヴェルーナでもいいが、髪の色が戻った時のことを考えて、
「リシェーネ。」
と、答えた。
「そうかい。私は、ベレーデ・カーン。調子はどうだい?」
「大丈夫です。ところで此処は何処ですか?」
「ここはダンカン国最北の村、ヘリシオ村だよ。まぁ、箱庭にも近いけど。ちなみにここは私の家だよ。」
「ここに私が来て何日になりますか?」
「えーと、ちょうど一月になるね。ずっと寝てるもんだから心配したよ。」
「そうですか。」
リシェーネが言い終わるのと同時に、リシェーネのお腹が鳴った。
「ああ、ちょっと待ってておくれ。」
そう言うと、ベレーデはドアから出て行った。
少しすると、ベレーデが戻ってきた。手に何か持っている。
それをベッドの横にある、テーブルに置いた。
「さ、お食べ。」
そう言うと、リシェーネが起き上がるのを手伝ってくれた。
テーブルの上には、湯気の立っているシチューにパン、サラダとフルーツが置いてあった。
リシェーネはそれをぺろりと平らげた。
それのおかげで、リシェーネのお腹は満たされた。
「私の服じゃ大きいようだね。」
ベレーデは、リシェーネの身なりをしげしげと見ながら言った。
リシェーネは、ぶかぶかの服を着ていた。
「それに下着も買わなくちゃね。ついておいで。」
リシェーネは、慌ててベレーデの後について行った。
リシェーネが寝ていた部屋の二つ隣の部屋の中に入った。
その部屋は綺麗に整われており、二つのベッドとクローゼットとタンスがあった。
ベレーデはタンスの前に行くと、二段目の引き出しを開け、ワンピースを取り出した。
「少し大きいが、我慢しておくれ。」
ベレーデはすまなそうに笑った。
リシェーネは頷くと、ベレーデからワンピースを受け取り着替えた。
「さ、行こうか。」
リシェーネは、ベレーデと共に家を出た。
家を出ると、そこには家が並んでいた。
しばらく歩くと、人が賑わう所に出た。
少し歩くと服屋に着いた。
中には、たくさんのワンピースとドレスが並んでいる。
ベレーデは真っ直ぐレジに言った。
そこに、四十代後半のダンディな人が居た。
「アイアン、あの子の目が覚めたよ。」
ベレーデが言うと、アイアンはリシェーネを見た。
「リシェーネ、私の旦那、アイアンよ。アイアン、リシェーネよ。」
「これは美人さんだな。はじめまして、リシェーネ。アイアンと呼んでくれ。」
「はじめまして、アイアンさん。」
「アイアン、この子にぴったりのワンピースをニ十着おくれ。」
ベレーデがそいうと、アイアンは店の奥に消えた。
「に、ニ十着?」
「ん?そうだよ。しばらく家に居ていいからね。」
「でも…。」
「いいんだよ。」
「有難うございます。」
リシェーネがそう言うと、ベレーデはうれしそうに微笑んだ。
「こんなんでどうかね。」
そう言いながら、アイアンが店の奥から出てきた。
その手にはニ十着の色とりどりなワンピースがあった。
「それでいいよ。」
アイアンはそれを丁寧に畳んで、袋に入れてくれた。
店を出ると、次は下着を買いに行った。その次に、櫛や髪留めなど、身の回りの者すべてを買いそろえた。
こうして、リシェーネは人の良さそうな二人の夫婦にお世話になるのであった。