変化の神、バイオリーニ
二日もヴェルーナは飛び続けた。
そして、目の前には大きな洞窟の入口がある。
洞窟の周りは、何の変哲もない森である。
(ここだな。)
洞窟の中に入ると、そこは薄暗かった。変わっていることと言えば、洞窟の真ん中にある大きな水溜りが和束に光っていることだ。
ヴェルーナが辺りを見回すと、笑い声が洞窟中に響いた。
そして、大きな水たまりの向こう側から、美女が出てきた。
紫色の髪に、真っ赤な瞳の美女だ。
服はシンプルなワンピースで、それが彼女を引き立てていた。
「やった来たのね。待ちくたびれたわ。」
そう言うと彼女は大きな欠伸をした。
「私はバイオリーニ。変化の神よ。貴方の望みは元の姿に戻ることでしょ?」
(その通りだ。)
ヴェルーナがそう言うと、バイオリーニはくすりと笑った。
「前とは真逆な願いよね。あ、覚えてないか。」
(条件は何だ。)
バイオリーニが、笑みを深めながら言った。
「それをずっと考えてたのよ。そしたらね、いま思いついたわ。」
(何だ。)
「貴方を元の姿に戻してあげるわ。その代わり、――――――。」
ヴェルーナは目を見開いた。
彼女が告げた条件は驚くべきものだった。