人間宣言
短いです。
リュシオンを見送って、五時間ぐらいしたらダルドがやってきた。
「お前、本当に記憶がないのか。」
と、突然聞きながら。
(いや、ある。)
「はっ、どっちだよ。」
(思い出した。)
「そうか。なら、分かっていると思うが言うぞ。
お前は人間だ。それも王族の。元の姿に戻りたいか?」
(あぁ。戻りたい。何処に行けばいい。)
「ジロン国の箱庭に最も近い山、バルミ山の頂上の洞窟にあいつ居る。名は分かるな?」
(もちろんだ。そこに行けばいいのだな?」
「そうだ。だが気をつけろ。あいつは交換条件を出してくる。そのつもりで居ろよ。」
(分かった。行ってくる。)
そう言うと、ヴェルーナは翼を開き羽ばたいた。
姿を元に戻し、リュシオンとの恋を叶えるために。
「そろそろ頃合いね。」
薄暗い洞窟の中に声が響く。
声が響くのと同時に、洞窟の中央にある水たまりが光る。
そこに、映像が映し出された。
姿を元に戻すために飛んでいる、ヴェルーナだ。
「条件はどうしましょうか。」
声の主がにやりと笑う。
「楽しみだわ。」
くすくすと笑い声が洞窟に響いた。