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仇を討つ

クロウさんは口より先に腕が出るタイプの人だった。

マユは魔族に対しての差別意識が強く、それに味方する人間も悪だと容赦なく葬ってきた。

セイルは人間と魔族の関係に差別意識を持たず、無差別に戦いを挑んでは殺すような人だった。

みんな癖の強い人達だったけど、同じ師匠の元で共に鍛えあった大切な仲間だった。


彼らとは私が立つこの国、アルマ王国で再会する予定だった。

だけど未だに誰とも再会できていなかった。


「ここは…」


私は大きな戦いの跡を見つけた。

地図を見る限りここには森があったみたいだけど、目の前にはクレーターが広がっていてその面影もない。


「…ユニークスキル、過去視」


私の持つユニークスキル、過去視はその場所で起こった出来事を観ることができる。

私はセイルとマユが殺されるところを確認した。

そしてその二人を殺したのが同一犯であることも。


「あの人達…だったのか…!」


シエルさん達がそうだったなんて…!

きっとクロウさんもやられてしまったのだろう。

孤児達の集まるあの村は大丈夫だろうか。


「よくもみんなを…絶対に許さない!」


今からアニモンアに戻れば間に合うかもしれない。

私は剣を抜き、村の方角へと走り出した。


「邪魔だ!」


走っていた私を獲物にした魔物達が道を遮るが、速度を落とさずに群れの中心へ突入。

そのまま牙を剥いて襲ってきた魔物だけを切り捨てた。


アニモンアの南門が見えてきた。

そこから三人、見覚えのある人物が歩いて出てきた。


「ねえ!あれ見て!」


「剣を抜いているということは、どうやら俺達が敵であると悟ったようだな」


「呑気に解説してる場合か!あの加速っぷり、突きでどんだけの威力になるか分かんないぞ!」


疾走の勢いを乗せた突きを放つ。

敵は各々の剣を咄嗟に並べて、シエルの胸に向かわせた刃先を押さえ止めた。


「なんつー威力だ!腕がビリビリっていうか、腕にだけ雷が落ちたみたいな!」


「なぜ私の仲間を殺した!」


「あんたの仲間が向かって来たから返り討ちにしてやっただけよ!」


「あの人達を敵に回すような真似をしたからだ!」


「そうかも…しれないけどな!」


三人の力が合わさった防御を突き崩せる気がしない。

剣を引き距離を取って、私は様子を見た。


「ハッキリ言うが、クロウってやつ以外ロクな人間に感じなかったぜ」


「なんだと!?」


アクト(こいつ)

仲間を殺した上に侮辱するなんて!


「シエル、クルミに情けをかけたいという気持ちはよく分かった。だからこそ全力で戦え!死んだらそこまでだぞ!実力差で負けるからって手ェ抜いたら承知しねえぞ!」


「そ、そんなこと言われたって!」


「来るぞ!」


なぜこんなやつらに仲間(みんな)はやられてしまったんだ!

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