第51話 駆け付けたメアリスは
レイアストと同じ牙髪を持ち、メアリスであると名乗った少年アクトナイト。マユを爆散させた辺り、相当の実力者と思えた。
「アクトナイト!あなたならあいつを倒せるんじゃないの?やっつけちゃってよ!」
「あぁ俺のネーム長いから、全然アクトって略していいよ。それで今の頼みなんだけど…ごめんなさい!前の世界での戦いでエナジーを使ってて…残ってた分をあいつに撃ち込んじゃったんだ。少し休む時間を貰えれば戦えるけど…再生能力かぁ…」
どうやら前にいた世界から休むことなくこの世界へ駆けつけてくれたらしい。おかげで命拾いしたから、感謝の念しか出なかった。
「そうだ!この世界にいたメアリスは?」
「戦死した。あの怪物が人間の姿をしていた頃にな」
ブレイズの返答によって空気が一気に変わる。そうだった、私達は仲間を失ったばかりなんだ…
「…お前、信号を貰ったからこの世界に来たと言っていたな。何故もっと早く来れなかった!お前ならレイアストの元に駆け付けてやれたはずだろ!?」
「やめてくださいよブレイズさん!」
アクトに飛び掛かろうとしたブレイズをカジヤンが押さえる。これについては私も同じ気持ちだった。
「どうして…もっと早く来てくれなかったの?」
「ごめん…信号を受け取ったのが世界の命運を決める戦いの最中だったんだ。信号を受けた次の日に終戦して、すぐに次元を超えた俺は信号の残留思念だけが残っていた大海に出た。それからすぐ、あの巨体のエナジーを感知して……………つらいよな…ごめん」
アクトは剣の刃を後ろに向くように持ち直して頭を下げる。彼は剣を収める鞘を身に付けていなかった。
「レイアストを殺したのはあの怪物に変身したマユっていう魔女なの」
憎むべきは彼じゃない。そもそもの原因はあいつなんだ。あいつは何としても殺さないと…!
「お願いアクト!私達と一緒に戦って!」
「…駄目だ。あんた達はここで待っていてくれ。あの怪獣は俺がなんとかする」
「どうしてよ!?力のないあんただけが行っても勝てるわけないでしょ!」
「どんなやつにも弱点はあるはずだ。それを見つける。それからは…出たとこ勝負だ」
「レイアストだったらそんな無茶な戦い方しないわよ!」
「レイアストっていうメアリスがどんな人だったか分からないけど、俺は俺のやり方でいく。やり方は違うだろうけど、この世界のために戦おうとする気持ちは同じだ」
「私だって同じよ!あいつを倒したいの!」
しかしアクトは背を向けた。彼の先にあるイケネミでは巨体のマユが暴れていた。
「…今のあんたには悪になり得る闇の復讐心が宿っている。思い出せ。闇を生み出す心の傷と、それを癒す光の存在を」
アクトがどこからともなく取り出した青色の石をイケネミの方へ向ける。すると水が打ち上がり島に続く道が完成した。
「…よしっ行くか!」
彼が走っていく道を使えば敵がいる場所に行ける。それなのに私達は立ち上がれず、動き出せなかった。