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第32話 斧で斬るには?

セレンの木は真っ二つに折るとすぐに再生するが、傷付けるだけでも少し放置すれば再生する。

度々魔力が尽きて私が倒れ、再び立ち上がると既に木は元の状態に戻ってしまっているのだ。


それ故に伐採場に入れられて8日、一度たりとも木を折れていなかった。


「一週間の反復修行にしては魔力を蓄えられる量が増えたね。これは予想外だったかな」

「そ、そうかしら…」


1/8…いや1/9ほど木の幹が削れるようになった。身体に溜められる魔力が増えたのは良かったけど、時間を掛けても切断する力は大して上がっていなかった。


「なにかコツってないの?ねぇ」

「あくまで斧に魔力を纏わせるのは習得の前段階だからね。そのコツは自分で掴んでもらわないと」

「そんな~」

「ほら、しっかりと休んで魔力を回復させるの。お店行くけど、何か欲しい物ある?」

「ない…」



伐採場から出ていくレイアストを見送った後、私は魔力を纏わせた状態の斧で木を殴った。すると業物でもないただの斧で、簡単に斬れてしまったのだ。


「ケンソォドソーダーなんて使えなくたって私は充分強いじゃない!」


もう再生しちゃったけど、レイアストが帰って来たタイミングで斬った直後みたいにすれば次のステップに進める!




…ってズルは良くないわね。冒険者たるもの正々堂々と修行に取り組まないと。


「あ、すいませ~ん」


斧を持ち上げて修行を再開しようとすると男の人に話し掛けられた。もしかしてナンパ?頑張ってる私に惚れちゃった感じ?


「これからチェーンソー使うのでうるさくなると思うんですけど大丈夫ですか?」


気付くと伐採場にチェーンソーを持った人が大勢集まっていた。どうやらセレンの木を収集しに来た別の町の業者さんらしい。

野郎に囲まれての修行は気が散りそうだったので離れた場所に移してもらった。それでもやかましい切断音は私の耳に届いてきた。


「う、うるせ…」



つべこべ言っても仕方ない。そう自分に言い聞かせて修行に臨むが、結果さっきよりも削れた範囲が狭まり、魔力の消耗も早かった。


そんな、ガアアアア!ギギギギイ!ってうっさい音に殴られながら集中なんて出来るわけないでしょ!


「はあ…あんた達楽でいいわよね…」


電気っていう魔力の入ったバッテリーパックを電動ノコギリという名前の聖剣に挿し込んでトリガーを引いてるだけ。後は刃が勝手に回って幹を削ってくれるものね。あぁ羨ましいわマジで。楽そうで。

私はめっちゃ強い勇者と戦わないといけないのに、あんたら木を削るだけだものね。


「…」


削られたそばから木屑が跳ねる。私が斧を当てる時とは全く違う。魔力を纏わせただけの斧だと、あれよりも削るスピードは遅く、木屑もフワッと浮き上がるだけだ。


「…まさか!」



もしかしたらレイアストみたいに出来るかもしれない!早速、私は斧を拾って魔力を送った。そして魔力を刃に集中させるが今度はそれだけで終わらない。ここからが肝だ…!


「あの電ノコみたいに…!」


刃に纏った魔力を高速振動させる!これでどうだ?そうして刃を接触させると───




「うわっ!えっぐ削れた!?」


成功した!レイアストがやった時みたいに斧が触れただけで木が倒れた!!!

斧で殴っちゃいけないなら魔力を動かせばいい!触れるだけで木を斬るには魔力に変化を付け加える必要があったんだ!


「………おっしゃあ!」


一つ目の修行クリア!ケンソォドソーダーの習得に一歩前進よ!

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