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第20話 成長の余地なし!?

イゴフムルを倒してから1ヶ月。カジヤンは既に目を覚まし、私と一緒にクエスト攻略という名の修行に励んでいた。




私達が今いる場所はゴドフリロという木々の生えた緑の山。大勢の人を殺害した魔法使い崩れのシウナと戦っていた。


戦況はこちらが優勢。2人での連携プレーも上達していき、余計なダメージを受ける事もなくなった。


「カジヤン!お願い!」

「ヂカラセフィラ!」


1トンのハンマーを手放し、カジヤンが第一潜在呪文ヂカラセフィラを唱える。絡め合わせた両拳に超変形エネルギーを纏わせ、殴った物体をパワーアップさせるという武装強化能力だ。


どうやらカジヤンの鍛冶スキルと連携しているらしく、彼女の技術上達に比例して超変形エネルギーの量も増加し、殴った物体もその分強くなるのだ。



潜在呪文によって剣が変形を果たす。もう何回この剣は殴られたのだろうか。疲労が起こらないのが不思議なところだ。むしろ変形した後は僅かな損傷も直って頑丈になっている。


カジヤンの潜在能力というだけあって凄い効果だ。



「喰らえええええ!」


強化された剣でシウナを撃破。戦いに余裕が出来ているので、殺すのではなく捕縛する事も多くなった。


そしてシウナの監視者だった人物の魔法でケジンの冒険者ギルドへ戻り、時間がある限り次のクエストをクリアしていく。これが私達の修行の流れだ。


「さぁて、次のクエストいっちゃうか!」

「待て、シエル・ラングリッター」


私達が次のクエストを選ぼうとしていたところ、ブレイズが声を掛けてきた。


「どうかしたかしら?もしかして緊急クエスト?」

「今日で俺はお前の師事を降りることに」「ごめんなさい悪いところがあるなら直しますだから捨てないでください…」


成長の余地なしと失望された。そう思って私はひたすら懇願したのだった。




「勘違いするな。ただ、俺のやり方では潜在呪文には辿り着けないと判断しただけだ。明日からはレイアストの元で修行を受けてもらう」

「レイアスト…あぁ、魔王と初めて会った時にいたあの女の人ね」


あの人が何かしら準備をしていたおかげで魔王は即転移が出来た。そう考えると私の命の恩人でもある。

しかし強そうには思えなかった。確か武器も持ってなかったし、外見からして格闘系のジョブではなさそうだった。


「その重量スーツはもう脱いで構わない。剣も元の持ち方に戻せ。ジョブを変更していなければ、身体が自然と戦い方を思い出す。それ以上に更なる戦術が浮かび上がるはずだ」

「あぁそれモノローグですら言及してなかったからスッカリ忘れてたわ」


上着を脱ぐと身体が軽くなった。これで今日から座椅子タイプで用を足せる。


「明日、転送屋にゾピロンという国のスティンク高地に飛ばしてもらえ。そこでレイアストが待っている」

「あの、カジヤンは?」

「彼女はこのまま俺が鍛える」

「ふ~ん」


そうなんだ…



「あの、シエルさん」「なに」


「なんで不機嫌なんですか………ってそれよりも、その剣をしばらく預けてもらえませんか?」

「アマルガムセイバーを?うん、いいよ」

「名前変わってる………私の能力を練習すると同時にあなたに合った剣を造りたいんです。次に会う時には完成させておきます」


そういえば最初に会った頃、私の剣を造るみたいな話をした覚えがある。


「シエルは明日に備えて今日はもう休め。フラリア・ミスクドはこのまま俺とクエストを始めるぞ」

「分かりました!」


いいな~カジヤン、楽しそうで。



言われた通り、私は最後の一日を宿の中でのんびりと過ごした。


この時、明日から今まで以上に大変な修行が待っているとは思いもしなかった。

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